このレビューはネタバレを含みます
《MIRRORLIAR FILMS(ミラーライアーフィルムズ)》シーズン4より。
ムロツヨシさん監督作品。
前半の字幕付き無声アニメーションと、後半のご本人と大西礼芳さんによるダイアログからなる短編。
【あらすじ】
小学生男女の下校の様子を、まるでその年齢の子どもが描いた様なタッチの絵によるアニメーションで表現。
引っ越しを直前に控え、いつもの事だった2人の帰り道が、実はかげがえのないものだと気付かされる。
時が流れ、そこで映像は実写に切り替わる。
2人の男女が、いつになっても来ないエレベーターの前で立ち尽くしている。
コミカルな内容で解決策を相談し合う中で、2人の間にある「変化」(《MIRRORLIAR FILMS》全編共通のテーマとされているもの)が訪れた事を知る。
2人の関係、アニメーションの意味、2人にとっての変化、それらが、心温まる映像と音楽で表現されている。
【感想など】
永野宗典さんによる、小学生が描いたかの様なアニメーションが良かった。
正直、このお方について、詳しい事までは存じ上げないのだが、舞台にテレビに映画に、その他にも色々と才能のある方だと言う事は、動く姿やクレジットでのお名前などを、見るとも無しに見ていて知っている。
このタッチの絵でなければ、ラストの玄関の絵に意味が持てないかも知れない。
森優太さんの楽曲も、ほっこりとする。
歩道橋は、下校時の分かれ道ではあるが、2人を隔てるものでは無く、2人を繋ぐ架け橋。
エレベーター前での会話劇について、お2人のダイアローグは「流石」の一言。
いつになっても来ないエレベーター前の会話は、さながら「ゴドーを待ちながら」。
しかし、ここでエレベーター、つまりゴドーは来るし、更に新しい命を授かったと言う事も知る。
世の中は、不条理ではなく、「幸せがちゃんとやってくる」と言う、ポジティブなメッセージ。
当たり前の存在が、居なくなると知ると、かけがえのない存在だったのだと思う様になる。
帰り道で分かれる必要のない、「バイバイ」を言わなくても良い場所、つまり同じ家に住む事になり、そしてお2人にとって「新しい生命」というかけがえのない存在がまた増える。
これからも、「バイバイ」を言わなくても良い家族で居続けて欲しいと、陰ながら願う。