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夜、鳥たちが啼くのkuuのレビュー・感想・評価

夜、鳥たちが啼く(2022年製作の映画)
3.0
『夜、鳥たちが啼く』
映倫区分 R15+
製作年 2022年。上映時間 115分。
『海炭市叙景』などの原作者として知られる作家・佐藤泰志の短編集『大きなハードルと小さなハードル』所収の一編を映画化。
売れない小説家と、離婚して行き場を失ったシングルマザーの共同生活を描く。
佐藤原作の『そこのみにて光輝く』『オーバー・フェンス』などを手掛けてきた高田亮が脚本、『アルプススタンドのはしの方』などの城定秀夫が監督を務めた。
主人公を『闇金ドッグス』シリーズなどの山田裕貴、離婚を機に彼のもとに身を寄せるシングルマザーを『雨に叫べば』などの松本まりかが演じる。

若くして作家となるもその後は売れず、恋人にも去られ悶々とした日々を送る慎一(山田裕貴)。
そこへ、離婚して行き場のない友人の元妻・裕子(松本まりか)が幼い息子と共に越してくる。
慎一は恋人と暮らしていた家を母子に与えて自身は離れのプレハブで生活し、身勝手に他者を傷つけてきた自らの姿を投影するような小説を夜ごと執筆する。
一方の裕子は息子が眠ると外出し、孤独を埋めるかのように行きずりの男たちと関係を持つ。慎一と裕子は互いに干渉しないように共同生活を送るが、二人とも前に踏み出すことができずにいた。

どうでもエエんですが、山田裕貴は『東京リベンジャーズ』シリーズのドラケン役じゃなく、それよかもう少し前に『ここは今から倫理です。』ってドラマでの先生役の彼に俄に嵌まり、なんとなく見てる『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』で個人的には好きな邦画の俳優上位を不動にしてるかな。
そんな山田裕貴の個人的イメージが違う今作品、演じるは、過度の嫉妬で恋人を失った売れない小説家。
彼は、友人の元妻(松本まりか)とその子供を自分の家に住まわせるって歪やなぁ。
下心ありありやがな。
今作品は恋愛の相性は悪いかもしれないが、可能性を信じてあきらめないでいる人たちの、歪な恋愛ドラマって云えるかな。
邦画アルアルやと、このプロットを安っぽいふわふわした作品に使ってしまうが(主役の3人が幸せな家族になる)、今作品は人間関係が複雑な土台の上に築かれていることを生々しく表現している。
今作品では、登場人物とその関係性を確立するのに時間をかけてたかな。
また、登場人物の出自は、彼らの人生における現在の出来事を反映したりコメントしたりするフラッシュバックによって少しずつ明らかにされるだけで、何も教えてくれないのが意外に空想や妄想をスパイスに出来て、今にはとてもありがたかったかな。
山田も松本も互いが信頼できる関係を築くことで(あくまでも推測)、ある程度良き化学反応と、より良いものを求める欠陥のある人間を見事に演じれてたかな。
残念なことに、監督の城定秀夫は“ピンク映画界の鬼才”と云われとるルーツを捨てきれず、不必要に長い2つのセックスシーンを追加し、ほとんどが男性の視線のために機能している。
いや、むっつり女子には機能してるやろな。
最近は童貞男子さながらの堅物の小生としては、エロ見たい時ならAV見るし、エロ撮りたいならピンク映画にしとけよ監督さんよ~ぉと云いたい。
でもまぁ、全体として、これらの欠点はこの映画をそれほど傷つけるものではなく、現実的な日本のキャラ主導のドラマが好きな人なら誰でもこの映画に挑戦してみるべきかな。
個人的には残念を差し引いて、山田裕貴推しをプラスしたら(相殺)面白い作品でした。
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