“これ以上傷つきたくないから、相手に期待しない”
こんな山田裕貴をこれまでみたことがない。
この二人の関係性は、無責任で、ずるくて、単なる傷の舐め合いなのかもしれない。恋愛という程のものではないのかもしれないし、もしかしたらそうなのかもしれない。でも、それでもいいじゃない。きっと、この二人にとっては、この曖昧で微妙な距離感がベストなのだろうから。
曇天の重苦しい閉塞感とは対照的に、けたたましく啼く開放的な鳥たちが印象的な本作。
本作を観たことがきっかけで、山田裕貴に対するイメージがガラッと変わった。元々好きだし、カッコイイと思っていたけど、ここまで色気と狂気を兼ね備えた凄みのある演技をする俳優だとは思わなかった。演技に引き込まれるどころか、山田裕貴の感情に飲み込まれそう。とにかく凄い。