怡然じらく

夜、鳥たちが啼くの怡然じらくのネタバレレビュー・内容・結末

夜、鳥たちが啼く(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

初めは子どもがちょっと辛気臭いというか暗い印象だったけど、物語が進むにつれてシンイチに父親像を重ねていき笑顔が増えていく。それに比例して2人の関係性はより未来が見えなくなっていき、どん詰まり感が増していく。

世界一虚しい「だるまさんがころんだ」の後にみせたユウコの表情と、シンイチのパソコンにむけた晴れ晴れとした表情。
ユウコはシンイチを見ようとしているのに対して、シンイチは最後まで自分のことにしか関心がないのかなと感じた。これではどう転んでも将来に希望はみえず、ユウコは早いことシンイチから離れた方がいい。

そもそも、散々いたしたあとに「新しい彼女つくんないの?」と問いかけあうところが、この関係が傷の舐め合いにすぎないことを強調している。
そして、この関係から脱したいユウコと、このままでいたいシンイチと。クラゲの傷が痛むのに放置しつづけるのも、シンイチがあえて過去を傷のまま持ち続けているのにかぶる。
シンイチの少しエゴみのある無邪気さが、「劇場」の山﨑賢人とダブった。自分をごまかすような優しさでは、きっとこの先2人の人生の責任は負えないだろうな。

中村ゆりかを目当てにこの作品を観たけど、クセのない役をやっている彼女が新鮮で良かった。…と思ったらしっかり不倫してた。
限界カップルの冷めきった口喧嘩がリアル。こんなにピリついた「主婦になろうか」は初めて聞いて、さっさと別れちまえよと笑ってしまった。
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