かじドゥンドゥン

ファルコン・レイクのかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

ファルコン・レイク(2022年製作の映画)
3.8
夏の長期休暇を家族とともに湖畔で過ごす少年バスチャン。当地では、幼馴染みである年上の少女クロエと遊んで暮らす。湖には幽霊が出るのだと、子ども染みたことを言う傍らで、年上の青年たちと夜遊び、飲酒、喫煙と、ませた一面も見せるクロエに、バスチャンは翻弄されつつも惹かれてゆく。

そして長い休暇を終え、バスチャンたちが帰宅する日の前夜。寝室を抜け出したクロエの後を追って、深夜の野外パーティーにやってきたバスチャンは、当地に越してきたばかりの青年オリヴァーとクロエとがいちゃついている場面を見せつけられる。先日、バスチャンはオリヴァーから、クロエと関係をもったのかと聞かれ、思わず嘘をついてうなずいてしまい、そのことがクロエにばれて、バスチャンとクロエとの関係が気まずくなった矢先の、つらい光景。

さらに、酒を補充するという名目で、オリヴァーとクロエが、対岸の家屋に消えて行った。他の仲間たちが、二人のいちゃつく場面を見てやろうと、一斉に湖に飛び込んで、泳ぎ出す。バスチャンは水が苦手だが、恐る恐る、湖に身を浸し、拙い泳ぎで対岸を目指す。見るべきではない場面をわざわざこの目で確かめるための、破滅に向けた必死の水泳。そして・・・。

結末が結構難しい。恋多き母を持つクロエは、年頃だけに自然と性的な魅力を放ちつつも、それに惹かれてアプローチしてくる青年たちに対しては潔癖で、処女を貫いている。奥手のバスチャンは、クロエからすれば幼稚でつまらないというよりも、むしろ下心抜きで接してくれる信頼できる相手。だからこそ彼には、母から引き継いだかもしれない汚らわしさを意識せず、純な気持ちで性的な接触も許せるという、入り組んだ気持ち。クロエのこの心性が、結末を読み解くカギだと思ったのだけれど。