グシケン

ファルコン・レイクのグシケンのネタバレレビュー・内容・結末

ファルコン・レイク(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

めちゃくちゃ好みの作品でした。14歳の少年は見た目もヒョロガリで弟と子供向けアニメを観たり貝殻拾ったりして遊ぶ精神的な幼さの残る子供。16歳の少女は見た目は大人で歳上からもモテて、酒タバコパーティに興じる早熟な女性。「一番怖いものは?」の答えからも2人の精神年齢の違いが表れていた。
幼馴染でたった2歳しか違わないのに、こうも対照的。でも、少女は一緒にいて素直な気持ちでいられる少年に対し徐々に心を開いていき、少年は魅力的な歳上女性を目の当たりにして性に目覚めていく。
有り体にいえば、スマホの広告に出てくるエロ漫画みたいな設定なのに、ちゃんと人物描写に富んでていやらしさは全くない。
最初は完全に少年の方に自己投影し、少女=大人とみて、少年の歳上男性へのコンプレックスや見栄っ張りな一面(少女がきたらサッカーの小技披露しちゃうところとか、金髪が好きって言っちゃうところとか、少女が嫌がることを知ってるのに、「ヤッた」って言っちゃうところとか)に共感していたが、少女の方も実は外見や経験こそ大人であるものの、子供のような純粋さも持っており、子供から大人への過渡期である一般的な16歳の女の子が垣間見えるのが面白かった。
少年と少女は、客観的には住む世界が違うように見えて、実は、子供から大人への過渡期の狭い世界に共存していて、本作ではそれが2人だけのオリジナルの世界を作り出しているように思えた。
ラストは唐突だったが、湖の水死体や幽霊がそばにいるという話が伏線になってたので腑に落ちたし、控えめでセンスのいいラストカットがとても良かった。
あとは、時代背景としては、スマホ持ってるから2010年以降なんだろうと思うが、大自然が舞台で服装も都会らしさがないので、なんとなく90年代中盤くらいの質感があり、それがこの話のシチュエーションも相まって爆発的なエモさを醸し出していた。
子供に門限0時でパーティに行かせたり、年頃の男女を同じ部屋に寝かせる親はどうなんだというか、異国の価値観の違いを感じた。
グシケン

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