レ

野いちごのレのレビュー・感想・評価

野いちご(1957年製作の映画)
4.4
反省したから見る夢と、反省しなかったからこそ見る夢があって、今作はその間を漂う。初期ラカンの理論にかっちり依拠した『ペルソナ』で、ベルイマン苦手かも……と思ったが、こんな人間くさくてかわいい作品もあるのか。
斎藤環がマルクスガブリエルについて、「ガブリエルの”世界”は、”診断”と置き換え可能で、すなわち診断さえしなければ、ナラティブを無限に生成できる」と言っていたが、この映画には(まだ)診断がついていない。

一番の名シーンはいとこが食卓に集合するところ。回想シーンに回想する本人が居合わせると視点がややこしくなるが、その上テーブルを囲んで暴れる子供たちが加わり、小気味良い運動の感覚がしばらく残る。
レ