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レジェンド&バタフライのRAMPOのレビュー・感想・評価

レジェンド&バタフライ(2023年製作の映画)
4.0
いや、分かってましたよ、観る前から、そうなんだろうなぁって。

この手のお話、史実の人物の生涯を(モチーフとして)描いた作品、本作でいえば“織田信長”でありその妻“帰蝶”って事ですが、そういうのって基本的には、その史実の人物のファン、またその時代背景等に興味や一定の思い入れのある人が視聴者の中心じゃないかと思うんですよね。

もちろん、その人物や周辺キャラに配された俳優さん、本作でいえば“木村拓哉”さんであり“綾瀬はるか”さん、または他の俳優さんって事になりますが、それらの方々いずれかのファンの方もいるとは思いますが、そういう方々は、ストーリー展開等にはあまり関心がない(若しくは興味がない)のではと思います。

んで、私は前者のパターン。
とにかく織田信長が大好きで、信長を主人公とする物語、または脇役でも登場する物語は、出来るだけ史実に基づいているものから新たな解釈やかなり突飛な設定のものまで、それが解説書であれ小説であれ漫画、アニメやTVドラマ、映画であれ、自分の手にすることの出来るものなら、ありとあらゆるものを読み観てきました。

その私からみて、やっぱ織田信長の生涯は描ききれてない、かなり断片的で、東映70周年記念作品でかなりお金かけてるって割には、随分と矮小化されてるなぁと。

いや、分かってました。
分かってたんですよ、きっとこの程度なんだろうなと。
邦画にしては長めの尺のようですが、でもやっぱキッチリ描き切るには映画の上映時間じゃ短過ぎるんですよね。
だから、エピソードも掻い摘んだものになるし、我々ファンがビックリするような、え?この重要なエピソードすっ飛ばすの?って事になる。
加えて、御濃の方の存在を重視して描かれるんだから、大きくて激しい合戦シーンなんかより、妻と夫の心の交流シーンが多くなるのも当然です。

でもねぇ、特に序盤に顕著ですが、御濃の方、出過ぎなんですよね。信長のキャラ設定についてもファンとしてはちょっと残念。
ネタバレになるので詳しくは触れませんが、この関係性は先のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」のそれに近いものを感じました。
あと、2人の交流中心ですから、他の役者さん、それぞれ著名な史実キャラに配されているようですが、個々の人物の掘り下げどころか殆ど活躍の場もなく、正直誰が誰やらです。
更には信長、御濃を演じるのがキムタク、綾瀬はるかですから、信長、御濃ではなく本人達にしか見えないという…。

そんなこんなで観賞前には、信長が題材かつその生涯を描き切った大作って事で、少しだけ期待してた私としては、物語中盤まではかなり残念な気持ちで観てたのです。

でもね、不思議とジッと観続けてると、こういうのもありかなぁと。
おそらく、私含めて信長の人物像やその生涯で人々に認識されているものの大半は誰かが創作したフィクションだったりするんでしょうし、本作自体もそういうものですしね。
“本能寺の変”に至る経緯も、成る程そういう解釈ねって(ここは先に引用した「麒麟がくる」とは真逆の設定な感じで)それはそれで納得感もありましたし、終盤、え?っていう、ある種のファンにとっての“夢”も観せていただきました。

結論としては、劇場の大画面・大音量で観れてそれなりの満足感を得、観終わったあと暫しの余韻に浸ることができました。
キムタク信長、綾瀬濃姫、カッコよかったです。
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