ケンタロー

レジェンド&バタフライのケンタローのレビュー・感想・評価

レジェンド&バタフライ(2023年製作の映画)
3.0
バタフライエフェクト/変身/胡蝶の夢

🦋蝶にはじまり蝶に終わる二人の野望を描く戦国ラブロマンス絵巻

🦋バタフライ・エフェクト
まむしの道三仕込の諜報謀略に長けた帰蝶が一人の大うつけを焚きつけ感化させることで自身の野望と夢を叶えていくという、今の時代らしい強い意志を持った女性として帰蝶が描かれている。演じる綾瀬はるかの明朗快活さもあって魅力的な帰蝶だ✨

蝶の羽ばたきが世界の気象変動を引き起こすというバタフライ・エフェクトのように、帰蝶の羽ばたきが信長と戦国の世を変えていく。

🦋変身
厨二病っぽい信長像はコミカルなれど、本作では途中の合戦が大胆に省略されており【比叡山延暦寺焼き討ち】で急激に変貌してしまうのが勿体ないと感じた。帰蝶に感化された信長に起きた変化から狂気の芽生えへの、その過程をもう少し丁寧に描いていればキムタク信長の深み、魔王としての凄味が出たのではないだろうか?

重要な戦や合戦シーンを削ぎ落とした反面、信長と帰蝶が民衆相手にバッタバッタと切り倒していくシーンが長いのがムムムな感じに…。状況的に仕方無いのだが、たとえ下賤の者共だとしても殺し過ぎだし、その後、二人が燃え上がるのは見てて引いたな😂

🦋胡蝶の夢
本能寺の変のラストはまさに荘子の『胡蝶の夢』であり、夢とも現実とも判別のつかないことを観客に体感させるためか随分と長いのだが、展開が本当に夢かコントか?という感じなので、個人的には儚く美しいというよりも、ちょっと笑えてきてしまったのが残念。

東映70周年記念作品だけあって、オープンセットや美術、衣装、VFXなど素晴らしい出来で、エンタメ異世界 “ if ” 時代劇としてなら充分に楽しめるし、明智光秀の謀反への流れも新しい視点での解釈で面白かった。

そして、キムタクはやっぱりキムタクで在り続けていて、良い悪いの次元ではなくて、そのスター性で保たせてしまう力というものは、それはそれで凄いことだと感心してしまうのだった。