Bobsan

追想のBobsanのレビュー・感想・評価

追想(1975年製作の映画)
5.0
愛する妻と娘をナチスの狼藉者どもに殺された医師が猟銃片手に復讐するナチス皆殺し映画ですね。クエンティン・タランティーノはこの映画が好き過ぎて「イングロリアス・バスターズ」と「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でオマージュを捧げました。「ランボー ラスト・ブラッド」なんかも本作を大いに参考にしているのではないでしょうか。
この作品はフランス、オートヴィエンヌのオルトゥールシュルグラヌ村で起こった634人もの民間人がナチス戦闘員によって虐殺された事件を元に制作されました。
劇中でフィリップ・ノワレ扮するジュリアンの妻クララが火炎放射器で焼き殺されますが、あれはこの事件で女子供400人以上が教会に閉じ込められ焼き殺された惨劇の象徴となっています。
ジュリアンは子供の頃の遊び場として知り尽くしている村の地の利を活かしてナチス共を一人ずつ成敗して行きます。更に彼は父親に教わった狩猟の才があり、猟銃の扱いにも長けていました。ぽっちゃり体型でおよそ戦闘に縁のなさそうなジュリアンが屈強なナチス兵をいとも簡単に始末していく様はカタルシスに溢れています。
また、本作は大変サタニックな作品でもあります。医師であり、神の信徒としての自覚と誇りを持っていたであろうジュリアンが、教会内に倒れる村人の死体の中で、上から見下ろすだけで何もしなかった神に怒り、キリスト像とマリア像を破壊し復讐を決意するシーンにはとても感銘を受けました。
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