スクラ

金の国 水の国のスクラのレビュー・感想・評価

金の国 水の国(2023年製作の映画)
4.5
<他者のために自己を犠牲にできる強さに感動>

敵対する2つの国にそれぞれ暮らすサーラとナランバヤルがそれぞれの国で嘘の結婚相手になり、
国同士の対立を回避するために奔走する物語。

サーラもナランバヤルも生い立ち上、自己犠牲の精神が強い。
現代において、それが必ずしも美徳とは限らないけど、大切なもの(この映画では国・そしてそこに住まう人々)や他者のために
自分を犠牲にできるのは、1つの強さだと思う。
でも、この映画は自己犠牲を全肯定するのではなく、自分さえ守れない者は大切なものを守れないってことも教えてくれる。

そして、ここからは個人的な意見、
私たちは本来、50年後の未来も考えながら生きていく責務があるはずで、
そういう考えを持っている人にとってはとても響く映画だと思う。
逆に今さえ楽しければいい、自分や周りの知っている人さえ楽しければいいって考えの人はあまり感動できない。

なぜなら、登場人物の多くが先を見据えて、最善の選択をしようと努力しているから。
未来の人々が自分たちが感じている辛さを受け継がないように、そして、自分たちが享受している幸せは受け継げるように
今の自分たちがすべきことを真剣に考えている。ここに共感できるかどうかは、現実で私たちが普段どう考えているかによると思う。

相変わらず主役には素人が声優として起用されてるけど、
脇を固める布陣が最強だったので、まぁ満足かな。
大御所二人、茶風林と銀河万丈の配役が完ぺきだったし、神谷浩史と沢城みゆきの演技も最高。
とくに沢城さん!今回はちょっと無機質で感情の起伏が少なそうな役。久々にこういうキャラの演技を聴けて幸せだ~

かがみの孤城といい、金の国水の国といい、2023年1月に観たアニメ映画は当たりで、幸先良いスタート!
今年は他にどんな名作が観られるのか楽しみ。
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