イワシ

None Shall Escape(原題)のイワシのレビュー・感想・評価

None Shall Escape(原題)(1944年製作の映画)
4.0
『受取人不明』の脚本家レスター・コールが同一のテーマを書いた『None Shall Escape』。1944年の映画にも拘らず、戦後のナチ高官の戦争裁判を描く。監督はアンドレ・ド・トス。ナチスにプロパガンダ映画を撮るように強要され、結果亡命した過去を持つ。

アンドレ・ド・トスの個人的な体験が反映されたプロパガンダ映画の撮影の光景が見てられない。撮影が終わると食糧は取り上げられ悲痛な叫びが周囲に響く。ナチによる暴虐は専ら列に並ぶことの強制によって表現される。その最悪の表象が列車であり、列から外れた者もこの縦構図反復に殺される。

法廷で始まり法廷で終わるので『パララックス・ビュー』をどうしても思い出すというか、アレクサンダー・ノックスの「われわれは滅びない」という最後の叫びが物凄く不吉な説得力を持ち始める。
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