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四月のsoのレビュー・感想・評価

四月(1962年製作の映画)
4.0
オタール・イオセリアーニ監督「ここに幸あり」で、小さな部屋の窓の横で女性がピアノ、男性がギターをつつましく弾くシーンがとても好きでいつまでも心に残っている。
住宅地を歩いていてどこからかピアノやギターの音がきこえてきたら、その音のきこえてくる窓をきょろきょろと探してしまう。
演奏する姿は大体見えないのだけど、その代わりに頭の中でこのシーンをイメージする。そして、嬉しい気持ちになる。

本作でも、窓と音楽はとても重要なものとして、それもとても重要なコンビとして、描かれている。
開かれた窓。
そこから、喜びや悲しみを誰かと分かち合うように音楽が流れてきたあの頃。
私たちの生活は、私たちの音楽は、いつからこんなに閉鎖的になってしまったのか。
停電の夜、ランプと月明かりのなか、窓の外からきこえてくるメロディに耳をすませる彼らの表情が、そんな思いを語っているようだった。

文明化と共に失われてゆく人間性・愛・音楽への郷愁や嘆きを、時にユーモアラスに、時に美しく描いた、1961年オタール・イオセリアーニ監督の処女作。
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