こーたろ

VESPER/ヴェスパーのこーたろのネタバレレビュー・内容・結末

VESPER/ヴェスパー(2022年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

優作のバイクではない。
ナウシカとff7を合体させたような世界観!
世界崩壊後の世界の中で遺伝子操作された奇形な植物の不気味さと美しさ。
人類の破滅から生み出された生態系が不思議に調和している。
その中で少女が向き合う問題は身近でありながら引き込まれていく成長譚。
なかなか良い纏まりだった。
主人公がウィノナライダーに似てる。

解像度が低い人は物足りなさを感じるだろう。一緒に観に行った人はそうだった。
え、ここで終わり??みたいな。
実際にはもう語る事は無くなってるからめちゃくちゃベストなタイミングで終わってるんだがな。。

ネタバレと面白いところ
シタデルって塗料メーカーだと思いきや富裕層の城塞都市。
軍人はけっこうエグいし顔も見えなきゃ声も出さない。たぶん口減しで殺人を推奨されてる。世界が崩壊してもなお破滅に向かっている。
ねたきりパパは生物と機械の中間みたいなデバイスでドローンで動いてる。
これが除隊された場合の保証か。
母は疲れて出ていってしまったが仕方ない世界かもしれない。
それでも父を見捨てない子供がひたすら偉い。

ジョグという人工生物を使役する世界、下等な扱いをするけど人間に形が似てるものを殺されるのをみんなに合わせて笑っていく子供が印象的だった。
あれで倫理観が植え付けられていくんだな。

タネが一度しか育たないというが、
花から出てくるタネがないのにどうしてタネが存在する?
というニワトリのたまご原理がよくわからなかった。

知性ジョグを作ったエリアス博士は完全にエアリスだし、放浪者達がカラクタを運んで進む姿は魔晄中毒者達のリユニオンだな。

シタデルの人、放浪者達。
顔を見せない人々は自己の意思がなく、世界を諦めてる人達だ。
意思があるのは外界の者と逃げてきた博士とジャグのみ。

地下の廃墟にいる死体は、
ベスパーの母ではないだろうか?
母は出て行ったとなっているが、実は夫を治すために地下で実験していて失敗、
ベスパーは気付いてないから父も傷つかないように隠しているのではないか?
ベスパーが実験してるのがナウシカ感あるけど母の影響があるのではないか?

ベスパーの家を襲ったのは誰か?
ヨナスの可能性があるが、その場合は父はが気付く。ヨナスの部下か、他の放浪者か?

ジョグのカメリアにはタネの複製情報のヒントが封印されていた。
ジョグがどこまで使役されるのか、セリフの含み的にはラブドール、ダッチワイフの役割もあっだのだろう。
カモフラージュしながら外界に逃げた。
知的ジョグが重罪なのは人類を越える可能性があるから規制されていたのだろう。
実際には、自己修復にも優れた力をもち、他人に対する愛もある。危険を察知して回避する機転も知恵もある。
(首の後ろを破壊して自死するのは進撃の巨人にも似てる)

タネの複製は偶然発見された奇跡だろう。
知恵ジャグの修復機能とベスパーの研究の合体だ。
恐らく、
タネの複製は世界にとっては大きなアドバンテージになる。
シタデルの中ではそれすら争いのタネになるのかもしれない。

ヨナスがシタデル軍を呼んだまでは取引通りだがその内容は裏切りだろう。
ベスパーの取引のあと、手の生態絆創膏を捨てるヨナスの行為と、ベスパーが冒頭のあなたは変われないと言っている事から、現況を変えたくないヨナスは排除するように連絡したのだろう。慈善活動はやってないと言ってるし。子供達を育てる事や生活を維持する
事情もあるからヨナスなりに選んだ事だ。
それをおびやかすなら身内をも消すしな。

シタデルにもたぶん派閥があるかもしれない。北は武闘派で南は比較的に温和かも。
シタデル軍にいて熟知した父が南のシタデルに大事な子供を行かせたのには希望がある。
この時点で世界を変える可能性が見えている。父も母もカメリアも失ってそれでも進むベスパーの成長は良いよね。

高台に登り大地に種を投げるシーンは、
世界の食糧危機をクリアする事を示唆した見事な終わりだったと言える。
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