このレビューはネタバレを含みます
正確には蟲ではなく，蟲っぽい進化を遂げた植物なんですけど，嫌いな方には「そんなの関係ねぇ」事案でございましょう．こんばんわ．三遊亭呼延灼です．
環境やらなんやらの諸問題を遺伝子操作動植物で解決しようとしたけど，見事に失敗しちゃった未来．大部分の動物種は絶滅し，代わりに植物が独自の，そして奇怪な進化を遂げた未来．そんな未来でも生き残る節足動物(主に昆虫綱)ってなんなのかしら．あいつらマジやばすぎでしょ．
上級国民はシタデルと呼ばれるコロニーに閉じこもり，下級国民はシタデルが販売する一世代限定の種子供給に生存を委ねるしかない未来．そんな世界に生きる少女ヴェスパー．ある日墜落した飛行機械から一人の女性，シタデル市民の女性を救出するのですが･･･
とにもかくにも世界観が凄い．ロコディの堂前さんのモノボケ級に凄い世界観に，圧倒されてしまいました．ニュルニュル機械，意思の疎通が可能と思わせる植物種，真っ白い肉体の人造人間，物言わぬ廃品回収者ピルグリム．お好きな方には，ご飯何杯喰えんねんとツッコむこと必至な世界．それを大画面で眺めるだけでも，入場料を出す価値がございました．
と同時に考察系物語でもありました．ヴァスパーの叔父であるヨナスはなぜ子供の血液をシタデルに提供するのか．ピルグリムの廃品回収と塔の意味．そもそもヴェスパーの母親のように唖になったらピルグリムになるのは何故か．その母親は生きているのか．ヴェスパーは何故最後に種子を散布したのか（これはなんとなく想像できますが）．そのヴェスパーが大人になった世界とは･･･
プロパーなSF者はこーゆーの好きでしょ．だからSFファンはちゃんと観てね．オヂサンとの約束だよ!!
なお，本作には蟲っぽい植物やちゃんとした蟲が多数登場しますので，苦手な方はそれなりの覚悟をもってご視聴くだされ．
