【シッチェス映画祭2022 コンペティション部門出品】
『ナイトメアは欲情する』クリスティーナ・ブオジーテ&ブルーノ・サンペル監督のリトアニア映画。シッチェス映画祭コンペに選出、ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭では最高賞を受賞した。
僕にはあまり良さが分からなかった。『アナイアレイション』をもっと薄味にしたみたいな。物足りなさ、説明不足な点が目立つ作品だったように思う。
前作を観ていないのでなんとも言えないが、作風はよく分かる。食虫植物や集合体がコワい人は要注意。気持ち悪いネバネバがたくさん出てくる。
生態系が崩壊した地球、上流階級の人々はシタデルと呼ばれるところで暮らし、下級民は荒廃した大地を彷徨っている。その世界観はいい。おそらくハリウッド映画とは比べものにならない低予算だろうが、よくこの壮大な世界観を描きこんでいる。
しかし話としてなんか雑。シタデルは結局どういうところか、人造生物であるジャグの存在など説明不足に感じる。
ラストはなるほどという着地を見せるが、少女の貧弱な装置からなされた研究が本当に世界を救うのか、彼女でなければダメだったのか、客観的な視線が欠けている。
演出も冗長に感じた。もう少しテンポ良く語っていって欲しかった。墜落した女性が出てきたあたりから長くて飽きてしまった。
まぁやりたかったことは分かるし悪い映画じゃない。映画祭で評価されるのは理解できるがもう少し丁寧な語り口が必要だったように思う。