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スマイルのSSDDのレビュー・感想・評価

スマイル(2022年製作の映画)
3.6
■概要
精神科医の女性はある日に緊急で見た患者が"何か"に取り憑かれると怯えていた。
なんとか落ち着かせるよう会話をしていたが、当然笑みを浮かべながら目の前で自殺してしまう。それ以来不穏な出来事が降りかかる…。

■感想(ネタバレなし)
ケビン・ベーコンの女、ソジー・ベーコンが主演のホラー。
DNAが色濃すぎてびっくりする、特に髪を下ろしたら驚くほど似ててびっくりした。

内容としてはクラシカルなホラーで目新しさはないのだが、定常時の映像のエフェクトがよくまたキャストの演技力が高く、評価できる。
ただ、肝心要のホラー要素はジャンプスケアと低音音楽での緩急という要素を繰り返すため、苦手な人はきついだろうし、そもそもくどさを感じてしまうのが残念。

久々にクラシカルホラーのど定番を観れたのもあり満足度はあるものの、使い古された手法の繰り返しで高評価には至らないという印象。
ベーコン補正がどうしてもかかり評価を上げてしまってる心理的なバイアスもある。

メイキングで観れる、元作品となる"ローズは眠らない"が評価され本作が作られたということでこれがなかなかいい。
U-NEXTだと本作の後に観れるようでオススメ。










■感想(ネタバレあり)
・ローズは眠らない
この映画の元となる15分程度の作品があり、パラマウントがその作品を観て本作が生まれた。
その元作品が時間制約の中で作られたからか非常に簡潔にまとまっていていい出来。

ただその中で作り出したアイデアを永遠と繰り返して使いまわしてるイメージで本作が冗長的になった感じがするので短編で勝負した方が良かった気がする。

内容としては、
セラピストにローズという女性(キャストはジャケットにもなってる女優さん)が、毎日悪夢を観る、場所や会う人は毎回異なるのだが必ずその人物が不気味な笑顔で笑いかけるという。
なぜ同じ夢なのかというと、その笑っている人物は顔が違っても、目と声が毎回同じで人の皮を被っているように思える。
きっと"それ"は人の皮の下の自分の本当の顔を見せたがっていて、それを観ると死ぬのだと思うので眠らないと独白する。
するとセラピストが「これがその夢ではないと断言できるのか?」というと、周りが廃墟と化し夢の中だと判明する。
セラピストは顔の皮を剥ぎ、本当の顔を見せつけて、ローズは見ないように努めるのだが…。

と言う感じだ。

サイレントヒルのように悪夢世界だと判明した瞬間に周りが荒廃していくエフェクトや、謎を残す終わりがよかった。

これを希釈して引き伸ばしたようになってしまった本作が残念。

・不幸の手紙形式のホラー
典型的なリレー形式で"何か"に取り憑かれてる間に"誰かの死"を他人に見せつけてトラウマを与えると移り変わる呪い。

誰かの死が乗り移られて自殺形式になるか、他者を殺害してもまぬがれられる。

このど定番の形式を用いたのはなかなか面白いし使いまわされたからこそ今使うのに評価ができる。

・冗長的な悪夢、幻覚
他の作品でも普通に進んでいると思ったら、選択肢のひとつを夢の中で観たまたは妄想した内容ではっとして我に帰ることで、"なんだ夢か"などと理解する手法。
繰り返されると興が覚めてしまうのだが、"ローズは眠らない"がベース引きずっていて悪夢で現れるというのを幻覚と混じらせたことで観てる側にしつこいと感じさせてしまったのはよくなかった。

幻覚一辺倒として一回悪夢を混じらせるか、悪夢だけにするか振り切ってればしつこさも納得できる作品になっていたはず。

・総評
"ローズは眠らない"を観たか否かで評価が変わりそう。悪夢ベースの元作品を観てると本作のしつこさがある程度納得に変わる。
最序盤で病室で亡くなるシーンを、中盤でローズ目線で再度再現するシーンを描写すれば良かったのではないかなと色々と惜しいものを感じる。

いい物を作った、評価された物という成功体験からさらに躍進するのか、引きずってうまく昇華されないのかって難しいラインですね。

ともあれ、リレー形式ホラーを久々に堪能できました。
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