てっぺい

Dr.コトー診療所のてっぺいのレビュー・感想・評価

Dr.コトー診療所(2022年製作の映画)
3.5
【完結する映画】
往年のドラマシリーズが、大同窓会をする温かい前半。そして迎える意外すぎるラスト。これ以上の続編は作れない、大完結する本作は、昔一度でもドラマを見た人なら必ず見届けるべき。

◆トリビア
〇与那国島にある、診療所のセットは見学可能。待合室や入院室などもそのまま残されており、白衣も着用できる。(https://www.okinawastory.jp/spot/600006893)
〇吉岡秀隆は、手術シーンで本当に怖くなり震えが止まらなくなった事が長い俳優人生で初の経験で、この16年のコトー先生の重みを背負った感覚に陥ったが、柴咲コウと筧利夫のサポートで乗り切った。(https://www.cinematoday.jp/news/N0133859)
〇柴咲コウは天候で中断した撮影時、空を見上げて天気を読み、数分後の晴れを予測、見事に的中させた。(https://coconutsjapan.com/entertainment/post-90266/90266/)
〇「タケヒロ」役の富岡涼は、ドラマシリーズをもって芸能界を引退していたが、本作のために復帰。15キロ減量して臨んだ。(https://www.cinematoday.jp/news/N0134187)
〇高橋海斗は、ベテラン勢に囲まれ、20から30テイクを重ねたシーンもあり「生きた心地がしなかった」。(https://eiga.com/news/20221026/13/)
〇生田絵梨花は、自然相手に待ち時間も長く過酷な撮影に、初めて先輩の前でベンチで睡眠をとった。(https://hominis.media/category/actor/post9913/)
〇初日の撮影は、コトー先生が自転車で往診に行くシーン。本作では電動自転車を使用している。(https://coto-movie.jp/interview/index.html)
〇ドラマでの"やりつくした感"もあり、続編は作られなかったが、コロナ禍以降、中江監督は人の生死について考える時間が増え、製作を吉岡に提案。その了承を得たことで映画化が一気に進みだした。(https://coto-movie.jp/interview/index.html)
〇中江監督は「これが集大成で、完結編。最初で最後の映画化で、連ドラも一切ありません。今後、やる気はないです」と断言した。(https://eiga.com/news/20221026/13/)

◆概要
2003年と2006年に放送されたテレビドラマ「Dr.コトー診療所」の16年ぶりの続編となる劇場版。
【原作】
山田貴敏による同名漫画(累計発行部数1200万部超)
【脚本】
吉田紀子
【監督】
中江功
【出演】
吉岡秀隆、柴咲コウ、富岡涼、高橋海人、生田絵梨花、蒼井優、神木隆之介、伊藤歩、堺雅人、大森南朋、朝加真由美、泉谷しげる、筧利夫、小林薫
【公開】2022年12月16日
【上映時間】135分

◆ストーリー
日本の西端に位置する自然豊かな孤島・志木那島。19年前に東京からこの島にやって来たコトーこと五島健助は、島にたった1人の医師として島民たちの命を背負ってきた。島民とコトーとの間には長い年月をかけて築いてきた信頼関係があり、今やコトーは島にとってかけがえのない存在だ。コトーは数年前に看護師の星野彩佳と結婚し、2人の間にはもうすぐ子どもが誕生する。志木那島でも日本の他の地域と同じく過疎高齢化が進む中、島民たちの誰もがコトーの診療所があることに安心し、変わらぬ暮らしを送り続けていた。しかし診療所の平穏な日常に、ある変化が忍び寄っていた。


◆以下ネタバレ


◆同窓会
白髪になったコトー先生と原さん。ハゲ対決をしてしまう旧漁業長と新漁業長笑。ドラマの最終話で初日の出を見にいく約束をした和田さんとミナに、もう5人もの子が。そもそもコトー先生と彩佳も結婚し、彩佳は身重。芸能界を引退している桜井幸子は無論登場せず、くにちゃん(春山幹介)は別人、個人的に見たかったひなちゃん(尾崎千瑛)も登場せず、内ばあ(千石規子)は2012年没と、まあしょうがない分はさておき、引退していたというタケヒロ(冨岡涼)の登場はアツかった。もう16年にもなる出演陣を逆にこれだけ集める事ができた事を讃えるべき。前半の大同窓会感は胸熱ものでした。

◆織田判斗
20年に及ぶコトーによる島の医療を、第三者の視野で客観的に見られる今回のキーマンだった。島人全員がコトーに頼りすぎている事、そもそもの医療体制に問題がある事を説く。そしてそれは、コトーが白血病を患う事の必然性も説く伏線となっていたし、コトーが台風の夜のあの患者数に対して、全員を助ける事を誓う無謀さの意味付けにも繋がっていた。

◆ラスト
彩佳の病床で力尽きるも、コトーは復活して子供に会えた、とも取れるラスト。でもあれはコトーが最後に抱いた夢の世界の描写だと読む。コトーが力尽き、映像はホワイトアウトしたのは天に召された暗示であり、コトーが子を抱く画もホワイトアウトする。そもそもあれをハッピーエンドとするには、コトーがいかにして復活したかが説明不足。また会見で吉岡秀隆が「診療所を海人くんに託して、『Dr.判斗』を1人のお客さんとして観たい」と語っている事、そして前述の判斗が説いた医療体制の重圧という伏線回収からもそれが読み取れる。コロナになり、人の生死について考えるようになった事が本作製作のきっかけの一つと語る中江監督。コトーシリーズの続編に人の生死の要素を盛り込む時、コトー自身にそれを背負わせる事、そしてコトーは自分より他人を優先する性格上、自分の病の前に力尽きる、それが必然の脚本だったと思う。ただ、往年のファンからすればそれは…

◆関連作品
「Dr.コトー診療所」
テレビドラマシリーズ。2003年版、2006年版、2004年に放送された特別編、また本作用に特別制作された番組も含めてFODで配信中。

◆評価
Filmarks:★×3.8
Yahoo!映画:★×3.5
映画.com:★×3.5

引用元
https://eiga.com/movie/97454/
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/Dr.コトー診療所_(テレビドラマ)
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