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Dr.コトー診療所のIDEAコメント休止中のレビュー・感想・評価

Dr.コトー診療所(2022年製作の映画)
2.5
時に激しく、時に穏やかに移り変わる
あの蒼ざめた海のように
人生も山あり谷あり、波乱に満ちている

懐かしきあの日々はとうに過ぎ去り
それでもまた、10年先も「あの頃」の話を
皆で笑って語り合いたい

そんな何気ない日常を守り続ける
一人の医師と愛する人たちの物語


ちょうどドラマの再放送もあり、その後お元気ですか?と、久しぶりにコトー先生に会いに行った。
島から見渡せる美しいあの海は、今もなお美しく私の心を打つ。
キャストもほぼ皆が続投で、まさにあの名作ドラマの続編に違いなかった。
しかしながら、コトー先生と島民の心の交流を描いたドラマシリーズとは少し趣が違い、へき地医療が直面する難題を正面から取り上げたヘビーな作りとなっている。

でも何故か答えは用意されていない。
もちろん、へき地医療は現在進行形の日本の課題であり、そう答えは出るまい。医師確保の取り組みはされているがその効果は如何ばかりだろうか。
現実の課題をズバッと解決するような展開を期待していたわけではない。
でも、それでも、覚悟を持って島の医療を背負うDr.コトーならではの、彼の口から出る魂の宿った答えを聞きたかった。
研修医の吐く正論なんぞ、自身の経験からくる強固な信念で跳ね返して欲しかった。

残念ながら私は、新キャラの研修医の正論を「現実は甘くねぇんだ。」と思いつつも受け入れる他なく、マトモなのは研修医だけなんじゃないか?状態に陥る始末。
同窓会的な雰囲気は好感が持てたが、作品全体としてはモヤモヤが残ってしまった。

ただやはり、エンディング曲の『銀の龍の背に乗って』は鼻の奥がツンとなるような感動が味わえる素晴らしい曲だった。
パンフレットは、大判サイズに島から見える美しい海がいっぱいに広がるデザインで大変良し。

(蛇足)
これは極めて私的な思いだが、シゲさんが最後に着ていたとあるTシャツに書かれていたもの。
話の展開にモヤモヤしていたところにとどめの一撃。本編に一切関係のないものを不意打ちでねじ込んではいけないと思う。
そういうのが好きな人ばかりではないのだから。