このレビューはネタバレを含みます
2D/日本語
ついこないだまで興味もなかったコトー。「…観てみるか」と思い立った瞬間からイッキに見直して、散々泣かされたので劇場へ。
以下良かったとこ。
・始まってすぐ分かる。風景がめちゃ良い。ドラマで散々見慣れた場所なのに、現代の撮影技術と広いスクリーンに映る志木那島の雄大さに驚く。いつか行きて〜。
・登場人物の"老い"。「ずっと、ここで生きてきた」という説得力が滲み出ている。みんな大なり小なり外見は変わったけど、若さ(変わらなさ)を感じる要因として声もかなり大事だなと思った。あんな真っ白でも喋ったらちゃんとコトーだもん。ヨボヨボのおじいちゃんも大声で喚いたらちゃんとシゲさんだもん。当時より綺麗な柴咲コウだけは意味が分からん。
・医者になれなかったタケヒロと、今作のためだけに俳優復帰した富岡涼さんの「居心地の悪さ」みたいなものがサイコーにハマってた。役者の境遇とキャラクターをリンクさせる例、日本のエンタメでは結構レアな気がする。
・昔から志木那島の一員だったかのような那美ちゃんと、いい意味で"異物"だった判斗先生。どちらも素晴らしかった。
そして唯一、圧倒的にダメダメだったとこ。
・診療所史上最大のピンチの中、コトー先生が倒れた瞬間…。呆然として動くことすらできない、という意図の演出なのは分かる。それにしても長いわ!死ぬって!よきところで駆け寄れよ!こういう場に慣れてない住民はまだアレとして、和田さんは何してんだよ真横で!
本っ当に冷めてしまった。ドラマシリーズで(どころか最近見たどの映画でも)、ここまで違和感を覚える登場人物の行動はなかった。他の賛否両論ポイントは個人的に許容範囲内だっただけに、マジでキツかった。自分の心がこの映画から離れる音がハッキリ聞こえた。
ラストシーンは現実だと信じてます。やっぱりハッピーエンドが好きなので。『銀の龍の背に乗って』の入り史上、最も美しかった。