最後にタイトルがボウっと浮き出てきたとき、鳥肌が立った。
タイトルの本当の意味がわかったとき、人を愛するということの神秘が、ダァーっと自分の中に流れ込んでくる。
「エゴ」を辞書で引くと、「自分本位の考え方や態度。また、そういう考え方の人。」と出てくる。
つまり「誰のためのことなのかわからない行動・思考」ってことなのかな。
だからこの言葉は悪い意味で使われがちだけど、この作品においては、妙子のこの台詞が全て。
「愛がなんだかわからなくてもいい。受け取った側が愛だと感じたんだから」
無償の愛とか、奉仕の心とか、そういう重たい言葉が軽く使われがちな現代だけど、それがどんなことか少し分からせてくれた作品でした。
上映後は松永監督とLiLiCoによるティーチインイベントもあり、それもとても楽しかった☺️
松永監督は企画当初からスタッフたちに、『君の名前で僕を呼んで』の世界観を作りたいと一貫して話していたそう。
静かに、でも熱く、性別を超えて惹かれる存在に出会ってしまった人たちの、もがくような愛し方。
そんな雰囲気が、確かに『君の名前で僕を呼んで』にとても似ていて、とても好きな作品になりました💓
ただそうなってくると、『君の名前で僕を呼んで』のティミーが頭の中に出てきてしまうから、あの儚さや美しさを求められた宮沢氷魚くんは本当に大変だっただろうなと思ってしまった。
でも松永監督が、鈴木亮平演じる浩輔と、宮沢氷魚くん演じる龍太の出会いを、"天使が現れる"と表現していたのが印象的だった。
氷魚くんって色は白いけど、線も細くはないし、背も高いし、ティミーとは少し違うジャンルの俳優さんのように認識していたけど、まさしく監督のその表現がピッタリなくらい儚くて、いまにも消えてしまいそうで、まさしく"天使"のようでした。
【ストーリー】
東京の出版社でファッション誌の編集者として働くゲイの浩輔(鈴木亮平)。
ある日彼は、シングルマザーの母親を支えながら働く、パーソナルトレーナーの龍太(宮沢氷魚)と出会い、惹かれ合っていく。
亡き母への思いを抱える浩輔は、母親に寄り添う龍太に手を差し伸べ、彼を愛する日々に大きな幸せを感じるようになっていく。
だが2人をある運命が待ち受けていた。
