ほしのこ

エゴイストのほしのこのレビュー・感想・評価

エゴイスト(2023年製作の映画)
4.1
予告を見て絶対映画館で見たいと思って鑑賞しました。期待以上に余韻が残り、落ち込みました(好きな作品でした)
幸せから落ちていく感じで、なんなら辛いシーンの方が多いです。
「ありがとう」「好き」よりも「ごめんね」が多いんです。


鈴木亮平さん(浩輔役)の演技が自然で、手持ちカメラの撮影方法も相まって、リアルな感じがしました。
そして宮沢永魚さん(龍太役)は、美しかったです。

最初はハッピーな感じで、歩道橋で龍太から浩輔へアプローチするシーンや、部屋で別れてからお互いに振り返ってバイバイするシーンとか幸せ感満載で好きでした。このまま終わって欲しかった・・笑


ここから徐々へ題名の感じに入るわけですが・・・
お母さんへのお土産を買ってあげたいけど買えない龍太と、次回買ってあげる浩輔。
その間も浩輔の執念で探し出すシーンもあったりと・・ネタバレもあるので色々割愛しますが、
龍太が朝のコーヒーを淹れながら、今度の日曜日に車で海へ行こうと言ったり、
龍太が浩輔に対して、「俺のこと好きでしょ?」と聞いてお別れしたり。
(龍太から好きって言ったことはあったのかな。魅力的とは言っていたけど)
お互い他人の感情に敏感で、喜ぶポイントをわかっているのがなあ・・・。
きっと似ているんですよね。

龍太のお母さんについては個人的な見方で、後半の映像を見るまでは息子さんにこんなに苦労をかけて、、、と正直ちょっとイラッとしていたんですが、なんだか憎めないというか。
悪気がないって、罪ですよね・・。

途中でこの映画の終わり方ってどうなるの?と何回も思いました。
たぶん浩輔も龍太もお母さんも、終わり方がわからなかったんじゃないかな、とか、ふと思ったり。


最初はエゴイスト(利己主義者)の題名は、浩輔のことだけかと思っていたら、
結果皆そうか、という感じで、依存し合う関係で互いに満たされ合っていて、需要と供給が成り立っているというか・・結構辛かったです。


描写も細かくて、お花が枯れたり、電球が切れていたり、小銭を落とすシーンが冒頭と最後に出てきたり、お惣菜を最後に食べたり。眉を描いたり。
自分の部屋でコーヒーを飲む場所がソファーから窓がよく見える場所へ変わっていたり。

同性愛が注目されている映画かもしれませんが、
まさにエゴイストという内容で、
色々考えながらみたい人は好きな作品だと思います。
ほしのこ

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