ももも

エゴイストのももものレビュー・感想・評価

エゴイスト(2023年製作の映画)
3.4
上映前広告の学園恋愛映画とのギャップがスゴイ。俳優を職業にしてる人のセリフに依存しない演技力は強い。
すぐ近くで見ているようなカメラワークも好きだった。

良し悪しは別にして、自分のエゴに自覚的で自罰的な人ほど度量が大きいのかも知れない。良かれと思った行為が相手を苦しい状況にしていくのが辛い。
誰のせいでもない、足掻いてもどうにもならない事ってあるけど、にしてもストーリーが悲劇的に出来すぎている。

自分も愛が何なのかよくわからない方だけど、「受け手が愛だと感じるなら愛でいい」的なセリフで、そういう考え方もアリなのかと靄が薄くなった感じがした。

同性愛の話。だけど自分にとっては異性の情愛もその他の組み合わせのそれも同じようにグロテスクに思える。だから見るのにハードルは低かった。分かりきったことだけど親密なシーンは多い。

阿川佐和子さん演じるお母さんに色々と
掻っ攫われた感。劇中のアパートの庶民的で雑然としたキッチンにすっぽりはまれるのがまず凄い。あの「ザ・お母さん (お客さんが来た時ver)」主演二人よりも鷲掴まれてしまった。

直接言及はされてなかったけど、現行の社会保障を考えるきっかけになった。
あの親子は生活保護を受けられていたのか?今の基準厳しすぎないか。
母親の治療への高額医療費制度の適用はあったのか?申請主義だから知らないとアクセスできない。義務教育に入れてくれ。
大事な人の母親が倒れても連絡が行かない。同性婚ありでいいし、結婚制度じゃなくても大切な人の大事に関われる仕組みがあればいいのに。

派手なアクションはないけど、映画館で見て良かったなと感じる映画でした。
ももも

ももも