このレビューはネタバレを含みます
すごいもんを観た。
タイトルの『エゴイスト』
妙子が浩輔に「まだ、行かないで。」と引き留めるラストシーンの後バンッ!とこのタイトルで締めくくられます。まるで冷水をかけられたような衝撃。
エゴイストという言葉‥辞書によると「利己主義者」。決して良いイメージのある言葉ではありませんね。高山真はどうしてこのタイトルにしたのでしょう。
聴き逃がしているだけかもしれませんが、劇中にエゴイストもしくはエゴという台詞は一言も無かったように思います。唯一のラストのタイトルバックのみです。
浩輔の行為はエゴともみえる行為でしょう。浩輔自身も愛なのかエゴなのか葛藤を覚えているように感じます。
ただ、愛もエゴも紙一重でも表裏一体でもなく共に存在し得るものなのだと思います。
だって、金を与える行為は浩輔がそうしたくてそうしているエゴであるし、それと同時に愛ゆえの行為であることも紛れもない真実でしょう。
つまりはエゴでもあり、愛でもあることは往々にしてあることです。大事なのは妙子の言った「私達は愛だと感じている。」ということに集約されます。第三者が踏み入って判断すべきことではない。劇中でも、浩輔に対してゲイ仲間は誰も「それはエゴだよ。」とは言っていません。同じように婚姻届の件も誰も否定はしなかったでしょ。
SNSの拡大により誰でも自身の意見や考えを発信できるようになりました。それ自体は悪いことではないのですが、第三者が踏み入るべきことではないことまで踏み入ることも目立つようになってきたように思います。
さて、タイトル以外の感想も書きたいですね。
パンフレットを読むと台本に沿って演技をするというより現場で作っていく場面が多かったと記されています。
彼氏の母親と二人きりのシーンのやや気まずい感じは実にリアルでしたし、母の目を盗んでキスしたときのリアクションも良かった。
金を妙子に渡す渡さないの攻防は両者の心境が演技から伝わるようでした。鈴木亮平はどうやっても受け取ってもらえなくてすごい困ってたらしいですね。
浩輔が自販機で小銭を落とすシーンがとても好きなシーンです。龍太も同じように小銭を落としたのをフラッシュバックして心が揺さぶられているのが、観ていても辛い様子で、流石は鈴木亮平といったところです。
あと、ゲイ仲間との飲み会はマジで楽しそう!!最高でしょう。
それと性描写は結構濃厚でR15+で映倫は良いんだろうかと思いました。まぁ決定的なものは映っていないからかな。同じ同性の性描写でとベネデッタは映ってたからR18+だったのに違いない。