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エゴイストのharunomaのレビュー・感想・評価

エゴイスト(2023年製作の映画)
2.3
俺物語!!(2015年製作の映画)の鈴木亮平をして、この真面目なドラマをどう見ればいいのか。思いの外、ほとんど劇中に音楽がゼロでそれは誠実に見えた。何もない普通のドラマだが、肝は生き残った者たちの後半30分。死者の回想なしに、不可思議な絆が描かれるが、1時間30分までアドリブベースの無駄な1カット長回しが、壊滅的にフォローするカメラワークも、素の状態がありのままで、つまりほとんどまったくカサヴェテスではなく、ただ1カットで撮っているために宮沢氷魚向けのカメ位置から撮られた映像のまま鈴木亮平の横顔を捉えると、違うジャンルの映画のように画面の顔圧がひどく、ジャケットを着るとやはりヤクザか刑事にしか見えない。ゴダールの言うように、男女の違いあるいは男と男の違いがキャメラによって示されはしない。当たり前だ、違いなどないそれがジェンダーレスの理念だからだと誰かは言いそうだが、題材を一つの売りにするならば、むしろ差異を際立たせるべきだろう、映画のショットとは社会とは何の関係もない、むしろそれを越えている。自由に、台詞もなく、自由に演技し、動ける俳優たち(カメラは任意の方向でフォローする)とは、一番の不自由な奴隷であるかも知れない、演出は世界を示すことだが、すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している。
メガネの反射がありすぎる柄本明は完全に失敗していた。
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