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エゴイストのchinsukoのレビュー・感想・評価

エゴイスト(2023年製作の映画)
4.6
男女のものと同様、いやそれ以上の美しいラブストーリーを見たという感想です。

LGBTQに対して偏見は無いですが、ゲイのそれは社会的な偏見や障害に目を向けたものになりがちですが、本作はそういう事ではなく、相手を愛する事に性別は関係ないというテーマで、2人の関係がごく自然に描かれていて、美しいと思えます。

主人公はファッション業界で働くリッチな男、浩輔。ジムのトレーナーの龍太と出会い惹かれ合う。龍太は母と2人暮らしで生活を支えていた。浩輔は龍太と付き合うも、龍太が男娼の仕事をしていると知り、援助を申し出る。

男女の間ならば結婚という養い方が自然にできますが、浩輔の援助はそれと同じ意味で、愛する人を援助するのに迷いはありません。ただ龍太の心情を思い、行き過ぎた申し出かと思ったのでしょう。

本作は「エゴイスト」と名は付いてますが、浩輔の行動はどれも慈愛に満ちていて、美しいものです。浩輔はその行動に「これはエゴではないのか」と自問自答する葛藤が見て取れます。

愛する方が裕福という立場であると、容易に愛情表現が出来るものですが、本作は主人公の行動にエゴではない、もっと気高いものを描いているように感じました。
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