誰かの手にハンドクリームを塗ったことがあるか。私はない。塗ったことのない人間が、彼らの愛に口を挟むことなどできるだろうか。
海に行こうよとなんの気兼ねもなく誘うことができる喜び、取るにたらない思い出を話すことができる確かな喜び。午後の柔らかい光があなたをさすとき、その美しい肌に触れたいと思うその気持ち。真っ白な肌に目立つ赤いできものも、それが君であるかぎりなんて魅力的なのだろう。
ひとりでは地獄にも思える現実から誰かに救われていく感覚。
手と手、肌と肌、目と目。
重なったり交わったり外れたりしながら、時が経ち、愛の対象が移り変わっていくこと。
時間が経ってもなんにもまとまらないけど
それでもいいからここに残しておく。