KANA

マリー・クワント スウィンギング・ロンドンの伝説のKANAのレビュー・感想・評価

3.8

「スウィンギング・ロンドン」
それは私のアンテナが敏感に反応するワードの一つ。
(ジェーン・バーキンやマリアンヌ・フェイスフルがきっかけ)

60年代、世界中の若者が熱狂したその伝説のムーブメントの中心にいたファッションデザイナー、マリー・クワント。
今年4月に亡くなった彼女の素顔に迫るドキュメンタリー。

『マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!』同様、ビートルズやストーンズ含め60sブリットポップカルチャーのお洒落ビデオコラージュという感じで、ヨダレ垂らしながらわくわく楽しめた。

中でも尺を割いてるコンテンツはミニスカート。
ミニスカを発案し、爆発的に流行らせたのが他でもないマリー。
それまでのファッションといえば、ディオールに代表されるようなドレッシーなオートクチュールを楽しめるごく限られた上流階級だけのものだった。
が、彼女はその概念をロックに打ち砕く。
ファッションとは自分を表現するもの。
ストリートにこそファッションを!
労働者階級の女の子たちにとってこれは大革命だったと思う。

ウェールズ人の両親の元、田舎育ちのシャイなマリーがロンドンでいかにデザイナーとして成功できたか。
その鍵は夫アレキサンダーのビジネス的手腕だったこともよくわかった。
あと日本との深い関係も。

ミニスカといえば!のツイッギーの映像もたくさん。可愛い〜。
母によると来日した時のフィーバーはやはり凄かったそうで。
パンクの女王ヴィヴィアン・ウエストウッドのインタビュー、尊かった。その通り!と頷いた。
大好きなケイト・モスがツイッギーと会った時のエピソードをハイテンションで話すのも貴重。
(ケイトは当然のようにヴィヴィアンのドキュメンタリーにも出てた)

感心するのは、マリーは自分が確立した(一世を風靡した)デザインにずっとしがみつかず、時代の変化によって柔軟に趣向を順応させてること。
それはメゾンではないストリートブランドの強みなのかも。
モッズを超え、ヒッピーだったり、クラシカル回帰だったり。
「これはもう古い、次はこれが来る」っていうバイブを感じ取る嗅覚が人一倍優れてるのがわかる。
人生全体として見ても節目節目で見切りのよさが感じられた。

ファッションの最先端にいながら息子が生まれてからは家族と田舎暮らし。
そのフィルムにも癒されたなぁ。
安らかに。
KANA

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