ロミ

カムイのうたのロミのレビュー・感想・評価

カムイのうた(2023年製作の映画)
4.5
アイヌについて知りたい。
そんな思いで本作も見た。

見終わって涙が溢れていました。

人権の事を考える時に、障がい者や部落民とは違う民族的な事としてアイヌを知る人は現代社会では少ないと思う。

現代は観光業として引きずり出されているアイヌは形としては表面的には映ります。

本州にもアイヌは長く住んでいてた証拠として地名に彼方此方に残っていますね。北海道に追いやられ今では本州にはアイヌは少ないとお聞きしています。

本作は明治時代のお話し、(ゴールデンカムイと重なります)
北海道を開拓するに当たり、倭人がアイヌを土人扱い、奴隷のように使っていたのを映像で生々しく見せられました。
アメリカの黒人奴隷のように。。。

本作の主人公は、知里幸恵さんをモデルに北岡テルとして、また国語学者の金田一京介氏がアイヌに魅了された事実を兼田先生と言う名で本作にて描いている。

アイヌのユーカラと言うメロディ・リズムの付いた叙事詩を島田歌穂が見事にうたう。

アイヌ語のユーカラをいわゆる日本語とのバイリンガルである知里幸恵さんが金田一から翻訳して欲しいとノートを東京から送られる。
左のページにはローマ字でユーカラを右のページに日本語訳を。
頭がよく感情豊かなアイヌの少女は美しい文字でノートに書き入れていく。

このユーカラを書き上げ出版が決まりますが、19才と言う若さで心臓病で亡くなってしまう。
自分の身を削って作った本を手に取る事なく亡くなるなんて、、、
アイヌ的に考えれば、カムイの世界へと戻ったと思えば良いのかもしれません。



映画館を出て、私は東京アイヌ文化交流センターへ足を伸ばしました。
昨年秋に札幌アイヌ交流文化センターへ行き、展示物は多く見応えがありました。体験コーナーでは刺繍の体験をしたりしたものですから、東京のセンターはどんなものかと思いました。ここには展示物は少ないのですが、資料本は多く自由に読むことが出来ます。

そこに、知里幸恵さんの本作に出て来た大学ノートの復刻版があり手に取りました。とても美しい文字でした。
4冊が1つにまとめて箱カバー、中の2冊は和訳が書いてありましたが、残りの2冊は左ページにローマ字は書いてありましたが、右側は白紙のままでした。
映画の中に、赤鉛筆で直しを入れていましたが、ノートには赤鉛筆はありませんでした。

そして、あの文を見つけました。
あたりに 降るふる 銀の水
あたりに 降る降る 金の水

[滴]に直してありませんでした。
ここはフィクションだったのでしょうか?

追記:ノートを元にアイヌ神謡集が生まれたそうです。その際水が滴になるみたいですね(2/4)

これから知里幸恵さんのアイヌ神謡集を購入したいと思います。
ロミ

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