ぶみ

ハンガー・ゲーム0のぶみのレビュー・感想・評価

ハンガー・ゲーム0(2023年製作の映画)
3.5
生き残れ。

スーザン・コリンズが上梓した『The Ballad of Songbirds and Snakes』を、フランシス・ローレンス監督、トム・ブライス主演により映像化したSFアクションで、『ハンガー・ゲーム』シリーズ第一作目の前日譚。
第10回目となる「ハンガー・ゲーム」で、プレイヤーの教育係に任命された主人公等の姿を描く。
原作は未読であるものの、本作品に備え映画のシリーズは全作品鑑賞済み。
主人公となる青年スノーをブライス、第12地区からゲームに参加する少女ルーシー・グレイをレイチェル・ゼグラー、ゲームの考案者をピーター・ディンクレイジ、ゲームメイカーをヴィオラ・デイヴィスが演じているほか、ハンター・シェイファー、ラッキー・フリッカーマン等が登場。
物語は、本シリーズで主人公となるカットニスが第12地区のプレイヤーとして志願した第74回大会の64年前であり、後に独裁国家パネムの独裁者となるドナルド・サザーランド演じるスノー大統領の前日譚が描かれるのだが、そもそものゲームのルールや世界観の説明がなされないため、そこに関しては予習しておいた方が無難。
また、もとの年代設定が不明ながら、64年前ということで、ディスプレイがブラウン管であったり、鉄道が古めかしかったりと、それなりに古い時代として描かれていたのは面白かったところであると同時に、スノー自身がゲームに参加するのではなく、教育係に選ばれるという設定も斬新だったところ。
展開も大きく二部構成となっており、前半はゲームの様子が、後半はスノーの心境が変化していく様が描かれることとなるものの、約二時間半という長めの尺とは言え、少々端折った感が否めなかったので、本シリーズの三作目、四作目のように二部作にしても良かったかなと感じた次第。
特に、前半の第10回ハンガー・ゲームの様子は、スケール感はそんなに大きくないが、サバイバル・アクションとして上々の仕上がりである反面、原題が前述のように『The Ballad of Songbirds and Snakes』であり、邦訳も『少女は鳥のように歌い、ヘビとともに戦う』となっているように、少なからずヘビが登場するため、苦手な人は要注意。
加えて、カットニスやマネシカケスと言ったキーワードが出てきたり、ゲーム中継番組のテーマ曲が流れたり、はたまた本シリーズでジェニファー・ローレンス演じるカットニスが歌った『The Hanging Tree』をグレイが歌ったりと、本シリーズを観ているとグッとくるシーンが多々あるので、冒頭にも書いたように、できれば予習をオススメしたいのだが、本作品を観てから、本シリーズに臨むのも時系列としては正しいので、それはそれでアリかも。
残念ながら日本ではシリーズがあまり人気が出なかったせいか、公開二日目のレイトショーにして、私ともう一人しか観客がいないという何とも寂しい状況ではあったものの、映画としての完成度決しては低くなく、アクション、ドラマ、世界観のいずれも十分満足いく出来栄えの一作。

雪(スノー)は頂きに降る。
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