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ブリング・ミンヨー・バック!のyadokariのレビュー・感想・評価

3.8
今話題の民謡クルセーダーズのドキュメンタリー。4点にならなかったのはライブ映画でなく、民謡クルセーダーズの入門編的ドキュメンタリーなので、一曲通して演奏するというのではなく、その間に民謡の説明やら「民謡クルセーダーズ」のことが語られる。もっとじっくりライブ映像を観たかったというのがマイナスポイントだから、映画としては面白かった。

各地方に伝わる民謡が、労働歌として地下水脈のように各地に伝わっていく。民謡というよりルーツ音楽と呼びたいというように、そのルーツは木の根っこのように日本各地に広がっていくのだ。そこに昔の日本の姿が柳田國男の根の国のようにあるのだと思った。農耕だけではなく漁師の歌として海から流れてくるソングラインもあるのだった。それは日本だけの文化ではなく、例えば東南アジアから流れてきた島唄だったり(元ちとせとのジョイント)、戦後ジャズの日本のポップスしての流行歌(朝ドラの『ブギウギ』はその走りである。)、さらに南米のクンデラはアフリカの奴隷のリズムとヨーロッパの郷愁の音楽がフュージョンしたもで、民謡クルセーダーズとも相性がいい。後半は世界に向けてのライブツアーで各国での盛り上がるも伺われる。民謡が伝統芸として公民館で習う音楽からポップスとして街中で解放される音楽としての姿がある。福生という米軍基地の街からグループが生まれ(そのきっかけが東日本大震災だった)のもなるほどと思った。
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