白石監督作品は幾つか追っているがどれも面白く、今作も違わず楽しめた。
怪物を神と誤解して復活させてしまうというテーマは「オカルト」「カルト」と今作で共通している。
怪物を神と誤解するには、強烈な現世の否定が必要となるが、「オカルト」では「社会的弱者」をリアルに描き、今作では「性被害」ということであった。
実は、誤って神ではなく怪物を復活させようとしていたと自覚/反省することが、もともとの現生を否定する要因である「社会的弱者」や「性被害」などの問題を乗り越えることには繋がらない。
怪物の復活は阻止したけれど、現世も肯定できない。何故なら「性被害」が蔓延る現世もまた地獄だから。
そして、今作のラストも全てがめでたしめでたしではない。続編があるとすれば、怪物すら信仰させてしまう現世の闇をまた深く描いてくれることを期待する。
そして、現世否定→怪物(≠神)信仰の対立図式を超えた白石監督ユニバースの拡張をも期待してしまう。もしそうなれば、ただのホラー映画ではなく1つの哲学にもなり得る。そんな可能性を感じた。