法律は社会の約束。でもすべて果たされるわけじゃない。
裁判官(竹之内豊)が新人弁護士(黒木華)にささやく言葉が、本作の肝かもしれない。
正義をふりかざして裁判に勝訴する。そんな黒木の理想を軽くいなす言葉。
法律は万能じゃない。民法第何条で解決するものではない。
さりとて三現主義と言われるものに呪縛されると、法律はいかにようにも変容する。
どこかで折り合いをつけなければならない。
六法全書はただの参考書、ということかもしれない。
世の中には隠蔽体質がはびこる。人間というものが防衛本能の産物である限り。
法廷の裏で葛藤する弁護士。
そこが結構丁寧に描かれている秀作。