菅藤浩三

イチケイのカラスの菅藤浩三のレビュー・感想・評価

イチケイのカラス(2023年製作の映画)
4.0
 実際の刑事手続がどうこうて話はドラマ時点から抜いていいファンタジー設定ということを前提に、ストーリーそのものがどうだったかに言及すると、意外に面白かった。なのでファンタジー設定を抜きにした論評は無粋。2時間ドラマでも成立するレベルの演出ではあるけどね。
 田中みな実を被告人とする防衛大臣向井理に対する墓場での殺人未遂刑事事件を刑事裁判体(裁判長が竹野内豊・右陪席が臆病ぽい柄本時生・左陪席がきりっと一本筋のある西野七瀬)で取り上げるに際し、彼女の夫の死因や海難事故の理由は何なのかを探究しようとするも、国家機密の壁に阻まれて得意の職権発動が全くできない。テレビ版のレギュラーで活躍するのは、岡山のド田舎に1人で弁護士職務経験で異動した黒木華(この人はテレビ版でコメディエンヌの才能が開花しましたね。穴掘りご苦労様)のみで、あとは顔出しくらい。映画独特のキャスティングでは、正義なのかおカネなのか清濁併せ呑む斎藤工がいい仕事してました。企業城下町の産業医吉田羊・顧問弁護士尾上菊之助・企業の工場長平山祐介、この3人がどのような縁で絡むのか後半露見する所そして正義は実現したが、、、てところがこの映画のキモだと思った。
菅藤浩三

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