このレビューはネタバレを含みます
テーマがおもしろい。完璧な世界は洗脳によってしか成し得ず、それゆえユートピアはあらかじめディストピアでしかありえないという。ここまで人の内面というか、精神的なところをテーマにしたドラ映画はこれまでなかったように思う。
ダメな人間が虫に変えられてしまうというのはナチスの優生思想を下敷きにしているのだろう。ひとりだけ洗脳を免れる少女の名前はハンナ。ヘブライ語聖書に出てくる名前で、やはりホロコーストを連想する。ある日突然虫に変身してしまう話を書いたカフカもユダヤ人だった。
しかしソーニャくんの声が本当に下手くそ。擁護のしようがない。
あとクライマックスでメンバーそれぞれの"個性"が発揮されるシーンがあればよかったと思う。こういうテーマなのだから。
この話をドラえもんでやったという意味で意欲作と思う。
子供が楽しめる話なのかどうかは置いておいて。
※追記
ソーニャの自己犠牲の精神は『罪と罰』のソーニャを連想させる。とすればレイ博士はラスコーリニコフか。
※再追記
ハンナはハンナ・アーレントから取っているのかもしれない。いずれにしてもユダヤ人である。