恋愛→結婚こそが目標で至高の幸せという暗黙の了解にメスを入れる作品。
三浦透子だから押し付けがましい主張もなくこの役を演じられたと思う。
喪女っぽさもあり、けれどモテないわけではなく、仕事はしているけれどバリキャリやエリートとは程遠い。そんな主人公。
本人は幸せで満足しているのに他人から幸せでない、それでは足りないと決めつけられることは苦悩だなと思う。
どこまでいっても理解が平行線となることが分かっていると尚更だろう。
新しい世界にぐいぐい引っ張り出してくれる前田敦子演じる女友達は別に主人公のためを思ってる訳では全然なく、ただ自分のやりたいことをやりたいようにまあまあ破天荒に生きている過程でたまたま毎回主人公に救いをもたらしているのが面白い。
けれどそういう人に、その言動に過度な期待はしてはならないなともまた思った。主人公がなんとなく生きてそれで幸せなように彼らは彼らで本当に毎秒本能のまま生きているだけなので。
前田敦子を女優として見たことがなかったが、
今作ではとても良い演技だと思った。
彼女の感情豊かなところが合っていたのかもしれないし、年を経て演技に深みが出たともいえる。
どちらにしてもAKBのことは嫌いになっても〜とかなんとか言ってる彼女はもうそこにいなくて人としての成長を感じた。
テーマや作品性については、他の方の指摘にもあるように幼児教育の場で前衛的なポリコレと捉えられてもおかしくないような紙芝居をやることは主人公の性格から考えても、日本の一般的な社会人の行動的にもありえないし、お父さんがおかわりと叫んでご飯をついでこさせるのもわざとかもしれないがこの作品のいわんとする問題提起と照らし合わせるととても不自然だ。
ただそういう見解を持ったことがない多くの人々が新しい世界に出会う、理解しようとするという意味ではいいのでは。