ひでG

そばかすのひでGのレビュー・感想・評価

そばかす(2022年製作の映画)
3.7
平日休みの朝、公開時から気になっていた日本映画をゆったりと観ることができました。良作でした。

個人的なことですが、成人している僕の子ども達は皆独身だ。それに対して、妻方のお母さんや妹は、「早く結婚できるといいね。祈っているよ。」などと時々言う。それを聞くと、凄く腹立たしい。

うちの子どもたちは仕事もバリバリやり、旅行やマラソンやダンスなどプライベートも充実している。(まあ、それなりに苦労はあるだろうが)
なのに、結婚していないから、(今のところ負け組、不幸)のレッテルを貼り、結婚・出産のコースだけが正規ルートみたいな考えには本当に納得いかず、腹立たしい!

さて、映画。「ドライブマイカー」でドライバー役で見事な演技を見せた三浦透子の本格的な主演作。
彼女はコールセンターで働く実家住まいの30歳独身。妹が先に嫁ぎ、母親からは、結婚をせっつかれている。その気がない佳純に母は騙してお見合いをセッティングしてしまう。

蘇畑佳純は、コミ障ではない。嫌々ながらだが合コンやお見合いの席では会話もできるし、コールセンターから保育園に転職もしている。(なぜ、保育園になったかがイマイチ定かでないのと、保育園のシーンがあまり良くなかったなあ、、あそこに出てくる子役は小学生だね、、)
突然、声をかけてきてくれた級友ともその後、友情を育んでいくことができる。(前田敦子がまたまた好演!敦ちゃんの助演、絶好調だね!)
ただ、家族からだけでなく、知り合いとの会話でも、異性との関係はどうしても恋愛に絡められてしまう。
その都度、佳純は戸惑いの表情を浮かべ、押し黙ってしまうのだ。

恋愛感情や性的な欲求が湧いてこない、そんな人だっているはず。そんな人たちに、お付き合いや結婚を押し付けていくのは良くない。うちの親戚のように、その価値観は「善意のハラスメント」だと、この映画を観て改めて思った。

三浦透子の好演により、何に幸せを感じてもそれは人それぞれって、そこを切り開けるかは本人自体って思わせてくれた良質の作品だった。

ただ、もう一歩特良映画にならなかったのは、透子演じる佳純が嫌なことは十分に伝わったけど、(家族団らんの場面でのカミングアウトは、もう一つ工夫が必要だったかな、ややありきたりな感も、、)
佳純自身は何を欲しているのかなど彼女の人間像がもう一つ深まっていない。
なぜ、実家を捨てないでいるのか、シンデレラを潰されたことを仕方ないと思っているのか、佳純と音楽との関係など、もう一つ佳純の内部が知りたかったなと感じた。

そこらへんが良い作品だけど、惜しい気もした。
映画監督としては、キャリアがスタートしたばかりの玉田真也監督、次作以降にも期待したい。
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