chaooon

ナショナル・シアター・ライブ「プライマ・フェイシィ」のchaooonのレビュー・感想・評価

4.5
National Theatre Live in Japn 2022シーズンの第3弾✨最新作✨

ここ最近の新作群の中では、個人的に久々の当たり作品🥺
どうしても英国本国上映から日本上映まではタイムラグがあるけど、今回はなんと本国公開からたったの2週間での史上最速上映だとか!
急いだ意味も納得の今見るべき社会に斬り込む怪作!

レイプ犯の弁護を専門とするエリート女性弁護士が、自らも性的暴行の被害者になったことで、男優位の社会で作り上げられた法律の問題点に疑問を呈するジョディ・カマーの圧巻の一人舞台。

ジョディ・カマーと言えば『最後の決闘裁判』の記憶が新しいけど、またしてもジョディと性被害と裁判。
『キリング・イヴ Killing Eve』で狂気的な一面も見れて、その演技力をまざまざと感じていたけど、1人舞台とは思えぬエネルギッシュさと、濃厚な舞台だった🥺

正直言うと、前半のおどけ混じりな部分は少々ノレず午後と言う時間帯も手伝って、ややウトウトしてしまったんだけど😪
後半の事件が起こってからと、裁判に至るまでかなり息を飲む展開…。
そして終幕は号泣レベル😭
会場中のすすり泣きの声も凄かった🥺

毎回このシリーズを観ると感じることだけど、このクオリティ、この熱量を毎日生で演じる役者の方々の精神力の凄まじさ。
その上、今回は内容的にもかなりセンシティブで、メンタル面が心配になってしまうレベル🥺
ジョディ凄いなあ…。

「夫婦間であってもレイプは起こりうる。」
知っていたはずのことだけど、普段ニュースやらで耳にする性被害の事件や訴訟問題で取り上げられる「レイプ」と言う言葉からは、何か特殊な状況を想像してしまって、そういったことがどうしても自分の中からも抜け落ちてしまう。
それどころか、被害女性に対しても何か問題があったのではないかと見てしまう。

「同性の方が厳しいこともある。」
『プロミシング・ヤングウーマン』でも描かれていた事象。
被害を受けた側にも落ち度がない限り、そんな状況にはなり得ない。
その当事者にならない限り、同じ女性であってもそう言う目を持ってしまう。

現在の裁判制度と性犯罪立証の相性の悪さ。
本来、センシティブでプライベートな内容であるはずの事柄。
それが性被害を立証するために公の場で、事細かに証言し、矛盾があれば尋問され、メディアで有る事無い事書かれ、長期的な屈辱を受け続ける。
ただでされ身体的にも精神的にも傷を負っているのに、セカンドレイプはさらに深刻…。

「3人に1人」「右を見て、左を見て、その中の1人」
劇場の座席両側が女性だったので、これはホント震えた😭

ジョディの演技が凄いのはもちろんの事、舞台セットや水の演出、照明の使い方も素晴らしかった。
特に新しさがあるものではないのだけど、その巧みさに魅せられて、とても満足度の高い内容でした🥺✨
chaooon

chaooon