正直、途中までは色んなことがぼんやりとしていたために特に何を思うでもなく、ただぼーっと眺めていた。
おじいちゃんよく出てくるなぁ、とか。
(監督ご自身の本当のお祖父様と知り納得)
終盤になりようやくぼんやりとしていたところに輪郭が出来はじめる。
その瞬間からのラストカットにかけての追い風が吹くような進み方に、心が奪われてしまった。
パンフレットを読んでいると監督自身もキャストの方々も皆んな、明確には“わからない”ところから始まっている。だから観客もわからない。
ただ、ぼんやりと進んでいく中で、最後にはスッとまとまる感覚がある。その感覚も、監督、キャスト、観客、皆んなで共有していたことなんだと知る。
『創り上げる』とは、こういうことなんだろう。
今まで観たどんな映画でも味わったことのない不思議な体験だった。
ノロがこちらを見つめるラストカットからのエンドロールで歌に入る流れは、本当に素晴らしい。あの流れを味わうために何度でも観てしまう気がしている。