ぴよこ

秘密のふたりのぴよこのレビュー・感想・評価

秘密のふたり(2021年製作の映画)
-
英訳と比較して、邦訳は登場人物が移民であることの意味合いが薄くなっているように思った。移民をルーツに持つ人々と、白人同士が結婚することは作中で相談の話題として上がり得る。同族同士の結婚は「ママが喜ぶ」だけでなく、その社会に人種間の乖離があることを示す。作中に白人は出ておらず、フランスの中には移民の(閉鎖的な?)コミュニティがあると読み取れる。主人公の「自らの妹を守らなければならない」という言葉や、「私が年長であり、従姉妹がここにいる限りは守る必要がある」といった態度は、異国の移民として自らの血縁関係がいかに大切にされているか、を表していると思う。

「あの子は変わっているから」という評価をしていたが、この台詞は重要なものだと考える。この映画の大半は主人公の目線やその行動に立っており、特に中盤でキスが露呈した後この台詞が出るまで彼女の存在は数えるほどのテキストのみである。しかし前述したような閉鎖的な社会に住む主人公の世界を壊し、主人公の新たな世界観を築いたのは彼女の存在である。従姉妹にとって「変わっていること」とは、彼女の既存概念にはまらない、自らの考えの価値基準で行動できる性質を指していると思う。例えば(彼女のセクシュアリティが明記されてないので気をつける必要があるが)異性愛者「でない」こと、また謝罪に対して赦すことのできる姿勢、公共のものであるベンチを占有する「黙然のルール」に怒ることができる、などに見られる。

閉鎖的な社会の中で、新たな価値観を持つものの混入は確固たる衝撃を呼ぶ。衝撃に惹かれるもの、反発するものがおり、加えて同族である者を守りたいという気持ちが混在していた。

終盤は自分が集中して無かったのかなぜかあまり覚えてないが、秘密のうちに交遊を続ける、というラストはどうかと思う。確かに邦題としては完璧だ。だが本当に崩壊できたとは言えないのではないか?あれ、、付き合ってるのは周知の事実となってるのかな?それとも主人公のなかの「既存社会の世界の崩落」としては成立してるからいいってことになってるんだっけ、、?(ここで記憶が途切れる)

SNSの使い方が、そのフォントや配置といいSKAM FRANCEに似てると思った。この映画もフランスだし、流行ってるのかな?
ぴよこ

ぴよこ