ノラネコの呑んで観るシネマ

ウーマン・キング 無敵の女戦士たちのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.6
アマプラで鑑賞。
19世紀アフリカ西部、現在のベナンにあったダホメ王国に実在した、女性だけの戦闘部隊アゴジェの物語。
率いるのは、ビオラ・デイヴィス演じる歴戦の将軍ナニスカ。
彼女と新兵として入隊した19歳のナウィ、対照的な二人が主人公。
奴隷貿易の時代が背景で、ダホメは敵対する隣国オヨと戦いながら、お互いに捕虜をヨーロッパや南米の奴隷商人に売っている。
第一義的には両国の戦争を描く物語だが、その外側にあるグローバルな搾取の構図、更に当時の世界の女性差別の問題も内包し、なかなか懐の深いエンターテイメントとなっている。
軸となる二人は架空のキャラクターだが、彼女らにもかなりディープな設定がされていて、ドラマとしても見応えあり。
この時代のアフリカを、アフリカ人視点で描いた作品自体ハリウッドでは希少だが、史実をベースにしながら、架空のキャラクターでパワフルに展開させる脚本がよく出来ている。
ジーナ・プリンス=バイスウッド監督の演出も冴え渡り、素晴らしい仕上がりだ。
この人は「オールド・ガード」も良かったが、アレの続編はないのだろうか。