みむさん

パリの記憶のみむさんのレビュー・感想・評価

パリの記憶(2022年製作の映画)
3.5
ヨーテボリ映画祭にて。

アリス・ウィノクール監督 x ヴァルジニー・エフィラ主演、ブノワ・マジメルも出ていた。

パリのレストランで起きたテロの生存者がトラウマを克服する話。記憶をたどるミステリー的な部分も少々。
テロのシーンがわりと生々しく、しかも回想シーンで何度か出てくるので人によっては注意が必要かも。

あまりの衝撃に生存者ミアはその時のことを思い出せず、他の生存者も記憶が混乱し、犠牲者のみならず生存者のその後の生活に多大な影響を与えていることが描かれていた。
その傷を癒し克服するために生存者の会に行っても、生存者同士の異なる記憶による言い争いが起きたりする場面はあまり他の映画では触れられなかった部分かもねと思ったり。

記憶が鮮明なことが果たして良いことなのか考える。しかし、現場を再訪して別の視点からトラウマに向き合う方法もあるんだね。それが果たして良いのかどうかはわからないけど。

事件があったレストランは早々に当時の従業員を入れ替え何事もなかったように営業し、手向けられた花などは日数が経つと清掃業者にゴミとして回収される。
よく日常を取り戻すことが大切だと言ったりするが、こうやって被害者側の視点で見せられると複雑な気分。

ミア自身も踏ん切りをつけて前向きな人生を歩むことを望んでいるだろうが、彼女の断片的な記憶が戻るにつれ、ある人に感謝を述べたい気持ちがわいてきて行動に出る。これってもしかして独り善がりなのでは?と思ったが、相手も同じ傷を負ってる立場でわかりあえるからよかったんだろう。

タイトル「Revoir Paris」はパリをもう一度見るという意味、事件を異なる視点から思い出す、生存してもう一度パリを見る、そんな意味があるのかもね?

フランス版ポスタービジュアルは良いシーンを切り取ったんだなぁ。

いろいろ複雑な思いを持ちながら見た映画だったが、きっちり希望があってよかった。

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