地域の個人スーパー兼食堂を営む一家の母親が亡くなったことで、相続問題が発生。
都会で意識高い系として働く末妹が実家を売り払って独立の元手にしようと企てるが、家業を引き継ぐ長男、出戻りで働く長女、アル中ニートの次男との関係に悶着が起きてしまう家族映画。
合理性や分かりやすい結果を追い求めズケズケと周囲を引っ掻き回していく末妹と非合理で金稼ぎの才覚は皆無だけど地に足がついていて人間味のある他の兄姉らとの対比がお見事。
長男の恋人が従事する農業を手伝ってからのシークエンスが豊かな味わいで大好き。
どちらが幸せとは言い切れないが、小馬鹿にしていたはずの家族に徐々に感化されて、金に換算できない関係の価値に気づき始める主人公の変遷はかなりの見どころ。
毒っ気にも偏らず、人情にも寄らず絶妙なバランス感覚に長けた良作。
