よつ

わたしの見ている世界が全てのよつのレビュー・感想・評価

4.1
親の死去で集まった4兄妹。
超合理的な性格の末娘・遥風は実家を売るために、反対する兄弟たちの自立化を画策する…というお話。

家族や地域との結びつきが薄れ、個人主義に傾倒する現代社会。遥風はそんな社会に順応しているつもりだったが、部下からのパワハラ告発をきっかけに退職することになる。自身の正しさを信じて疑わない遥風はすぐに起業するものの、目先の資金が不足するため実家の売却に向けて兄弟たちの説得を試みる。
噴出するトラブルがとても現代的で、特に20~30代には刺さる内容じゃないだろうか。
英題の『LONELY GLORY』はBUMPから取ったのかな?



(以下ネタバレです)


各キャラに良い所とどうしようもない所があって愛着が湧く。

長男は石頭で要領が悪いが、仕事に対する責任感は人一倍強く、自らのキャパを超えて周りのために奮闘してしまう。不器用だけど良い人。農家の娘ちゃん、可愛いし性格も一本気があって大好き。

長女は一番マトモそうに見えるが、最も過去が謎に包まれている。母親ながら娘の親権を得ていないことから、離婚の原因は彼女側に問題があったのかもしれない。自らへの罰として幸せから遠ざかろうとしているようにも映る。娘との関係は改善されないままだったが、それもリアル。婚約者の司さん(松浦祐也)良い人そうだけど『岬の兄妹』『福田村事件』でのイメージが悪すぎて信用しきれない笑

次男も負け犬根性が染み付いてしまっているが遥風に煽られたことで奮起する。今回はそれが裏目に出てしまうが、これが後の人生が好転するターニングポイントになってほしい。

次女の悠風はつねに合理的な最適解を求める。それ自体は素晴らしいことだが、どう考えてもこれが正しいでしょ?と他者の心情に配慮せずにそれを押し付けてしまう。主人公ながら最もヘイトを集める役回りだが、農作業やせどり業者との対峙、盛岡の失踪などをきっかけに変化していく姿はまさに主人公だった。
よつ

よつ