コマミー

ハントのコマミーのレビュー・感想・評価

ハント(2022年製作の映画)
3.8
【トンニムは誰?】



※fans voice様のオンライン試写会にて鑑賞




「黒水仙」「タイフーン」、そして「イカゲーム」と最近益々ノリに乗っている韓国の人気俳優"イ・ジョンジェ"。スター・ウォーズのドラマシリーズ「アコライト」への出演も決定しているなど、本当にノリに乗っている彼が、去年何と"監督デビュー"を果たしたのだ。
それがこの「ハント」だ。イ・ジョンジェが監督・脚本・主演、そしてそんな彼と20年来の友人である「グッド・バッド・ウィアード」や「アシュラ」で知られる"チョン・ウソン"がイ・ジョンジェ演じる"国家の安全企画部(旧KCIA)"の海外次長の"パク"と歪み合う事になる、国内次長の"キム"を演じている。

舞台は1980年代の"北と南の朝鮮"が一番歪みあっていた頃の韓国。"機密情報の漏洩"を機に、組織内に潜り込んでいる北のスパイ"トンニム"を探し出す任務を与えられたパクとキムだが、スパイを中々見つけ出せず、次第に"互いを監視"し合うようになる。
対立を深める中で、その中にある"大統領暗殺計画"が発覚し、事態はより困難を深めると言う内容だ。

1980年代の韓国と言えば、光州事件もこの頃であっただろう。なので、改革を求めた"民衆による運動"も絶えなかったまさに動乱の時代と言える。それに本作にも描かれていた事だが、軍や警察による"拷問尋問"なんてのも行われていて、抑圧が酷い時代であっただろう。この劇中での摘発・拷問尋問シーンは壮絶すぎてとても記憶が残っている。
そして本作はエンタメ系の大作アクションにも関わらず、"南北のイデオロギー"による対立を壮絶に描いている作品だった。
それに、見どころである東京やラストの"銃撃シーン"は「ヒート」並の迫力があって胸熱だし、残酷なシーンでもあった。

とまぁ、ギリギリネタバレに触れずに書いてみたのだが、これは是非劇場で見てほしいスパイ・アクション大作だなと感じた。
結構王道に感じる展開なのだが、フィクションながらも動乱の韓国の時代の背景を知る事が出来る博識高い作品でもあるので見ておいて損はないと感じた。
それに、"カメオ出演"も非常に豪華なので、これを見つける映画としても注目だ。

初監督作でこれを叩き出すイ・ジョンジェは本当にレベルが高いなと強く感じた作品だった。

…ちなみにチョン・ウソンも今年「保護者」と言う作品で監督デビューを果たしている。既にトロントやシッチェスなどで高評価を得ているので、こちらの日本公開もお願いしたいものだ。
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