ノラネコの呑んで観るシネマ

ハントのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ハント(2022年製作の映画)
4.2
権謀術数渦巻く、80年代韓国を舞台としたコンゲーム。
モチーフになっているのは、全斗煥大統領暗殺を狙い北朝鮮が起こしたラングーン爆破テロ事件で、そこに至るまでに何があったのか?をフィクションとして描く。
軸となるのは、監督・脚本も兼務のイ・ジョンジェ演じる安企部の国際班長と、チョン・ウソン演じる国内班長。
相次ぐ作戦失敗に、安企部内に北のスパイがいることが明らかとなり、国内班と国際班がお互いを疑い腹を探り合う。
当時の韓国は軍部独裁下で、この3年前には軍が市民を虐殺した光州事件が起こっており、イ・ジョンジェもチョン・ウソンも、過去に大きな傷を抱えている。
内通者を炙り出せなければ、自分たちの身も危うくなる、独裁体制のインサイダーならではのスリリングな展開で、なぜかニューヨークや東京で安企部が銃撃戦を繰り広げたりする。
惜しむらくはディテールの処理が雑に感じられてしまうことだが、初監督作としては十分及第点。