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SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのstaysweetのレビュー・感想・評価

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うーん渋い!「スポットライト」くらい渋い。
渋い映画は良いのだけど、記憶に残りづらい…
冒頭にちらりとFOXの話が出てくるが、それを扱った「スキャンダル」のほうが幾分ドラマティックかな。名画座でスキャンダルとシーセッドを2本立てにしそう。

あらすじを読んで痛快に感じてしまって観に行ったけど、スッキリカタルシス系の映画ではなかったのでそれを期待してる方は注意。騒動の全容とか裏側でもない。そこまでスキャンダラスでもない。なぜなら普段の私たちがそう感じるのはあくまでも世の中にそのニュースが出てからのこと。これはむしろそこに至る前段階の、潰され隠され奪われ続けてきた声や人権を、粉々にされたそれを探して掻き集めて吹き飛ばされないように守りながら形にするところの物語。爆発的な数の告発から、どれだけそれが抑圧されてきたかがわかる。
MeToo前夜とも言えるけど、革命前夜とは違うのは、革命はその機運が同志の間でふつふつと高まるものであるのに対し、この映画で戦っていた記者2人は賛同者を得ることが難しかったところ。巧妙にというよりは乱暴に、しかし完膚なきまでに権力が被害者の口を封じ、それが機能する仕組みが構築されてきたために単純に声を上げるということが出来ない…。謎解きは仕掛けや見えなかった事実を追っていくものだけど、これははじめから辿り着くべき仮説があってそのパーツを組むことに苦労する話なんだな。意外とない構造だけど、ソウダッタノカー!がないから地味でもあるw

…なんか、経済や法がシステマチックになりすぎると、上手く根回ししたりそれを可能にする財力がある人間が偉い賢いみたいになる場合があって、アメリカってそういうきらいがあったりするよなあと思う。でも信念や本質のために立ち上がれる人がいるのもまたアメリカ。
他人の尊厳を奪う権利は誰にもない。セクハラをよくある話にしてはいけない、あまつさえギャーギャーそれくらいで喚くななどと馬鹿を晒してはならん。男女関係なく、貶められた尊厳と恥辱に想像を向けられるようでありたいもの。


関係ないけど英語がすっきりはっきり聴きやすかったので勉強するのにいいかも。
さらに関係ないけど、この日映画館の発見システムがダウンしてててんてこまいしてた。全部人が応対してて、手書きのチケットもらった笑
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