おなべ

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのおなべのレビュー・感想・評価

3.8
◉「マッサージをしてくれないか?皆んなやってるし、これも仕事のうちだ。」──その名も、fuckin' ugly 《ハーベイ・ワインスタイン》

◉NYタイムズの女性報道記者《ジョディ・カンター》と《ミーガン・トゥーイー》が、ハリウッドの裏側に蔓延るセクハラ・性暴力を報道するまでの一部始終を赤裸々に執筆した著書「その名を暴け―#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い―」を基にした骨太な実録報道作品。彼女らはこれらの調査報道を通じて、ピュリッツァー賞公益部門を受賞。個人的には最敬意と感謝状を贈りたい。

◉昨年『プロミシング・ヤングウーマン』でトンデモない怪演を見せた《キャリー・マリガン》。本作の女性記者のキャラ然り、ここへきて“女性の代弁者”的な立ち位置が確立しつつある気がする。フェミニンなビジュアルとは裏腹に、理不尽な物事に対しては毅然とした態度で「No‼︎」を突き立てる様は痛快。応援してる。

◉30年以上もの間、圧倒的な権力と莫大な資金で、揉み消しや情報改竄・隠蔽工作によって表沙汰にされなかった巨大組織の根幹にメスを入れ、沈黙を破るキッカケを作った《ジョディ》と《ミーガン》 の偉業はとてつもなく意義深い。本作のようなジェンダー問題を巡って、絶えず揺れ動き続ける世界に生きる我々に向けて、何をすべきなのか選択肢と導きを与えてくれる。

◉同時に、ハリウッドや映画業界においてはそれが明らかになろうがなるまいが痛手には感じてない印象。Me too運動然り、あくまでも一過性のもので終わらないように、彼女達が巻き起こした大炎を各地で灯し続ける事が最重要課題だと感じた。

◉作品に罪はないと言うけれど、流石にこのような醜悪な性犯罪者の映画プロデューサーが製作した作品は観たくないかも…。強制的に性暴力を行うだけに留まらず、秘密保持契約、恐喝、示談による口封じ。賢いのか頭が悪いのか…夢や希望を抱いて挑戦する女性達の未来を、自身の欲求不満の為にぶち壊し、抑圧し続けた罪はもはや犯罪レベルの話ではない。

◉映画業界のパワハラ、セクハラはアメリカだけでなく、今の日本でも当たり前に存在する。(最近こそ某有名監督のセクハラが明らかになったものの大々的には報じておらず、その他の性被害報道はネットニュースで取り上げられる程度…)女性蔑視、いわゆるミソジニーが注目されつつある今、どうか、いつ告発されるか分からず震えてる加害者達の悪行がバレて、彼らのおチンが切り落とされますように…。











【以下ネタバレ含む】











◉関係各所に熱意を持って粘り強く調査を続けたからこそ、被害を受けた女性たちはオンレコを了承した。これがもし、記者が男性だったら結果は変わってたかもしれない…。
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