碧

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けの碧のレビュー・感想・評価

4.5
やっと地元に。

映画というより感覚的にドキュメンタリーだった本作。
鑑賞後、公式に目を通し理解を補う。
そのド真ん中にあった一文。

【問題はワインスタイン以上に性加害者を守る法のシステムにある】

共感しかない。

ドキュメンタリー感覚だったと思ったのも個人名がすべて実名であったり女優自らの出演であったり、とても日本には真似出来ない心意気。

アシュレイ・ジャッド
個人名に懐かしさを覚える女優に、そんな苛酷な背景があった事など全く知らなかった。
どおりで見かけなかったはず。

ミーガンとジョディを演じたお二人、どことなく実在のお二人に似ている部分も加え、ジリジリとヒリヒリと相手側に詰め寄る表現力は凄かった。
グレーヘアが印象的だった美しい次長や判断力のある編集長など、何よりチーム感が眩しかった部分も素晴らしかったところ。

リアリティが凄いのでスコアを迷ったけれど、やはり映画として観たら回想部分とリアル部分のバランスが悪かったかな、と。
そして、問題そのものに国は関係ないけれど、アメリカ人と日本人では理解度も変わってくるだろうという部分でも少し。

でも、それを差し引いたとしても本作は勇気ある大傑作。

禁錮23年。
軽いと感じる、私は。




個人的に。

2022年、ムビチケまで買って楽しみに待っていた『ハザードランプ』という作品が監督の悪行のせいで公開中止に。
返金対応して頂いたら余計に虚しさに襲われ、正直いまだに諦めきれないでいる。

もう観れないのに。

悪いことをした人が1番悪い。
擁護・傍観していた人も同様に悪い。
きっと小学生でも解ること。
でも別の局面で、その対象が制作者側だった時、生まれてきた作品には何の罪も無い。
「公開中止」
そんな無情な4文字を叩きつけられたらもう、お金を払って観ることしか出来ない私達には為す術が何も無いのが現実。

作品の向こう側にいる私達。
そこも忘れず作って頂ける制作陣が1人でも増えることを願う。
碧