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SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのmakoのレビュー・感想・評価

3.9
《世界中の #MeToo に火をつけた1つの記事》
◎79点

監督: マリア・シュラーダー
製作総指揮: ブラッド・ピット他
原作: ジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイー著
「その名を暴け―#MeToo に火をつけたジャーナリストたちの闘い」

ハリウッド“絶対権力者”の大罪〈性的暴行事件〉を暴いた衝撃の実話。
ピューリッツァー賞を受賞した調査報道を基に制作された。
観たかったので映画にリクエストしたら叶いました。

映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ・性的暴行事件をニューヨーク・タイムズ紙の記者が暴いていく。
被害に遭った女性たちは示談に応じており、証言すれば訴えられるため声をあげられない。
記者達は、調査を妨害されながらも信念を曲げず、証言を決意した勇気ある女性たちと真実を明らかにしていく。

ハーヴェイ・ワインスタインの姑息なやり方に腹が立つ。事件の揉み消しや示談など捕まらないように用意周到な所も嫌気がさす。
勇気を出して告白しようとしてもその示談のせいでできなかったりと中々確証が得られない。
そこを2人の記者の信念と粘り強さで被害女性と共に事件を明らかにしていく。

同じようなセクハラの実話もので『スキャンダル』もあったけど、その業界の権力者がパワハラ、セクハラを行うとなかなか表に出てこない。
いろんな事情が絡んで当事者だけでは済まないからだろうね。

ハーヴェイ・ワインスタインは映画プロデューサーで多くのヒット作を手がけていて敏腕なのは分かる。『パルプ・フィクション』『キル・ビル』『英国王のスピーチ』『アーティスト』など。
私も何本か観てるけどどれもいい映画だけに、これに関わっていた事を知り複雑の思いです。
ヒット作が多いだけに周りも何も言えなくなってしまったのかもしれないけど、それが被害を多くし、被害者の数を増やすことになった原因だと思う。
いくら仕事が出来たとしても、人間性に問題があるならダメでしょ。それを忠告する人がいればいいけど、長いものに巻かれちゃうから言い出せず、ズルズルと時が経ってここまでの事件になっていったんだろう。

日本でも俳優や監督のパワハラ、セクハラはあって話題になったけど、何故かジャニー喜多川氏になるとトークダウンする。
しかもジャニー喜多川氏の場合は、相手が子供だよ。子供に性的加害をしててタチが悪い。
しかも東京高裁で性加害の認定をされているのにも関わらず報道しなかった。文春はいち早く性被害を記事にしてたのに、テレビ・新聞は報道しなかった。
いつもならワイドショーが食いつくネタなのに。ジャニーズ事務所に忖度なのか圧力なのか知らないけど報じなかった。
だからそんな事件を知らない親が子を入所させる。
知ってたら入れないと思うよ。
現社長の藤島ジュリー景子氏は知らないと言うけど、そんな事は有り得ないでしょ。
ジャニーズファンだって薄々知ってたらしいのに、その内部にいた人が知らないはずはない。
しかも訴え人をSNSで叩く人もいる。売れなかったからそんなことを告白して、とか。
加害者より被害者が叩かれるっておかしいよね。
ジャニー喜多川氏の功績は称えるものだけど、それと性加害は別なので事件は事件として取り扱うべきだと思う。
報道陣の責任も大きいと思う。
日本のこういう体質が嫌い。

話が逸れたけど、本作で勇気を出して告発した方々、信念を持って記事を書いた2人の記者、編集長に敬意を表します。


NHKのアナザーストーリーズで「ハリウッドは闘う ~ アカデミー賞とダイバーシティ」という回があり(1/20)、そこでワインスタインの事も出てきました。
被害にあった女優がその後、インティマシー・コーディネイターの資格を取ったと仰ってました。
インティマシー・コーディネイターとは、俳優の身体的・精神的安全を確保するために、性的シーンなどデリケートな撮影現場に立ち会い、俳優と制作の仲介・コーディネートをする人の事です。
ちなみに、日本では2人しかいないとか。
TVerでインティマシー・コーディネイターの事が聞けます。
TVerで学ぶ!最強の時間割
https://tver.jp/lp/episodes/eplict3hqu

ジャニー喜多川氏の性加害について、中田敦彦さんの動画で詳しく解説してありました。
https://youtu.be/o3B3PZZv5ig





字幕翻訳: 松浦美奈
観客 10人くらい
劇場鑑賞 #46
2023 #48
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